先端技術とその周辺

ITなどの先端技術サーベイとそれを支える諸問題について思う事をつづっています。

サムスンの照準は5Gから3nmプロセスへ、更には、AIや画像プロセッサーへ進化?

2020年02月04日 18時21分47秒 | 日記
<header>

 

日経xTechによると、『サムスンの照準は5Gから3nmプロセスへ、2022年量産開始に向けTSMCと先陣争い』という。当面はDRAMやNANDのメモリーであるが、HPC(High Performance Computing)分野にも中国のPC、スマホベンダーから受託生産(ファウンドリー)を拡大していると言う。日本の半導体メーカー、中国と韓国メーカーに押され、収縮する一方! 安部長期政権の成果であろう。

</header>

 2020年1月20日、韓国サムスン電子(Samsung Electronics)の定期人事異動が発表された。年初の人事異動は同社の関心や投資先を推測できるとして韓国ではとても注目されている。今回は半導体研究所やファウンドリーなど半導体部門の昇進者が多く、半導体事業を担当するデバイスソリューション部門としては初めて女性専務も誕生した。

 韓国メディアは、日本の半導体素材輸出規制を乗り越えたことをたたえる意味を込めた人事だったと評価した。さらに、今回の人事異動からサムスン電子の2020年は、「半導体工程」「5G(第5世代移動通信システム)」「LEDテレビ」がキーワードになるとも分析した。

 サムスン電子の報道発表資料によれば、潜在力のある若手リーダーを昇進させたことや、成果主義という原則に沿って年齢や入社年度に関係なく成果と力量を保有した人材を登用したこと、外国人や女性の昇進を拡大したことが主な特徴だという。さらに、半導体部門は世界で初めて100層超えを達成した3次元積層NAND(3D NAND)フラッシュメモリーである第6世代「V-NAND」にCOP(Cell on Peri)技術を適用して量産できるようにしたことや、MRAM研究、DRAM競争力強化などの実績を評価した人事とも説明した。

 人事発表の翌1月21日には、半導体部門協力会社271社に過去最高額のインセンティブ417億4000万ウォン(約38億2000万円)を支給したと発表した。サムスン電子の半導体工場に常駐する協力会社を対象にしたもので、上期および下期の2回に分けて支給する。同社によれば、2010年から累計3476億5000万ウォン(約318億1000万円)を支給してきたという。

3nmプロセス開発工場を幹部が激励

 サムスン電子副会長の李在鎔(イ・ジェヨン)氏の2020年初仕事も半導体だった。同氏は1月2日、世界初の3nmプロセスを開発している華城(ファソン)工場の研究所を訪問、「過去の実績が未来の成功を保障してくれるわけではない」「間違った慣行や思考は果敢に廃止して新しい未来を開拓していこう」「隣人や社会と一緒に分け合い一緒に成長するのが我々の使命であり100年続く企業に至る道であることを肝に銘じよう」と社員を激励した。同工場では2019年12月31日に停電事故が起きており、その対策を議論するために同氏が訪問した可能性もある。この事故では、華城変電所の送電ケーブルに問題が発生して付近一帯が停電。その影響で同工場の半導体生産ラインが1分あまり中断し、数十億ウォンの損失が発生したと報道された。ちなみに同氏の2019年の初仕事は、水原(スウォン)工場の5Gネットワーク通信装備生産ラインの稼働式典だった。

3nmプロセスを開発しているサムスン電子の華城工場(出所:サムスン電子)
 

 華城工場の研究所が開発している3nmプロセスは、5nmプロセスよりも半導体チップの面積が35%以上減り、消費電力は半分に、処理速度は30%ほど早くなるという。サムスン電子は、2020年に5nmプロセス半導体の量産、2022年に3nmプロセス半導体の量産を目標としている。同社は3nmプロセスにおいてゲート全周型トランジスタ構造を採用する計画であり、「3nm Gate-All-Around Early(3GAAE)」と呼ぶ工程の設計キット(PDK v0.1, Process Design Kit)を、2019年5月14日に米国サンタクララで開催した「Samsung Foundry Forum 2019」で配布済みである。ファウンドリー世界1位の台湾積体電路製造(TSMC)も当初2023年だった計画を前倒しして2022年に3nmプロセス半導体を量産すると表明しているだけに、どちらが先に量産に成功するかも注目されている。

ファウンドリー事業を拡大

 サムスン電子の株価は、2019年9月に4万3000ウォン台だったのが2020年1月22日には6万3000ウォン台に上昇し、上場以来最高水準を記録している。2018年末に始まったメモリー半導体(DRAMとNANDフラッシュメモリー)の値下がりが止まりつつあることや、メモリーに偏らず事業領域を拡大しようと同社が投資を続けているシステム半導体への期待感が反映されているようだ。

 サムスン電子は、システム半導体でも世界1位を目標に、2030年までに133兆ウォン(約12兆2000億円、うち研究開発に73兆ウォン、生産インフラ設備に60兆ウォン)を投資するとともに、1万5000人の専門人材を採用すると発表している。投資拡大により、同社は中国の検索最大手である百度(バイドゥ)のファウンドリーにもなった。バイドゥのクラウドコンピューティングやエッジコンピューティングに使う人工知能(AI)処理向けプロセッサー「崑崙(Kunlun)」を2020年からサムスン電子のファウンドリーで量産する。百度のアーキテクチャー「XPU」とサムスン電子の14nmプロセス技術を適用している。これによって、同社はHPC(High Performance Computing)分野にもファウンドリーを拡大できた。

 サムスン電子の2019年の営業利益は、主力製品であるメモリー半導体および液晶パネルの値下がりによって悪化し、2018年の半分程度にとどまった。しかし、英市場調査会社のIHSマークイット(IHS Markit)は、2020年に世界各国で5Gの商用サービスが本格的に始まるとデータトラフィックが急増し、データ処理速度も重要になることから、より高額な半導体の需要が拡大し、ファンドリー市場規模も増加が見込めると発表。この流れに乗ってサムスン電子の業績も2019年よりは良くなるのではないかという期待が株価に反映されたようだ。


7nm半導体をけん引、NVIDIAを抜く中国 仮想通貨の超高速マシン

2020年02月04日 07時53分35秒 | 日記
<header>

 

日経の技術誌、xTechによると、中国の高速演算CPUの開発が進み、NVIDIAを抜き始めたと言う。ほんの半年くらい前までは、中国のPC関連機器は、米国のメーカーに頼らざるを得ないと言っていたのが、CPUの高速化の決め手となる、配線幅がさらなる微細幅7nmを達成したからだと言う。スマホの生産台数が中国全体でも10億近く、しかも、数社が競い合っているから、CPUにしろ,画像演算ロジックにしろ進化しないわけがない。日米の半導体メーカー、この中国の半導体の進化、気が気でないだろう。

 

『7nm半導体をけん引、NVIDIAを抜く中国 仮想通貨の超高速マシン』マイニング(採掘)やAI(人工知能)解析などのために、超高速データ演算マシンの需要が高まっている。超高速マシン特需は、半導体の先端プロセス開発を促し、高効率な放熱(熱拡散)技術の出番をもたらしそうだ。半導体メーカーでは、米国シリコンバレーの企業よりも中国の新興企業が存在感を高めており、業界地図が塗り変わる可能性もある。

</header>

 最先端プロセスの半導体を使って高速に演算するコンピューター「超高速マシン」が市場で引く手あまたになっている。IoT(Internet of Things)データや取引データから研究開発・経営に価値をもたらすデータを生みだすビッグデータ解析と、ビットコインなど仮想通貨マイニング(採掘)が、新たなけん引役だ。

 特に仮想通貨マイニングでは、決済の正当性の検証で報酬が得られることから、投資家が儲けを生み出すツールとして、2年前後の周期で最先端の超高速マシンを続々と買い増すケースが多い。このためマイニング用ASICは、16nm世代のプロセス(16nmプロセス)の製造ラインの需要をひっ迫させる主因となっているほどだ。

 2017年末に量産が始まった7nmプロセスの量産でもマイニング用ASICが、需要の大半を占めるとの見方がある1)。実際、7nmプロセスでは、ブロックチェーン(分散台帳)技術応用のベンチャー企業であるTRIPLE-1が自社設計のデータ演算用ASICの生産を2018年8月に開始し、これを搭載したマシンの出荷も始める。国内のGMOインターネットは、やはり自社設計の7nmプロセスのASICの量産を2018年10月までに始め、このASICを搭載したマシンを出荷する。

中国新興がNVIDIAを抜く

 超高速マシンの増殖は、エレクトロニクスなどのハイテク分野の業界地図を塗り替える可能性がある(図1)。すでに同マシンの開発と投資において主役交代の気配が見て取れる。

図1 超高速マシンがエレクトロニクス業界を変革
仮想通貨を採掘(マイニング)するコンピューターなど「超高速マシン」が大量に使われ始めた。7nm半導体プロセス需要の大半は超高速マシン向けになるとの見方がある。主役だったスマートフォン(スマホ)向けで先端プロセスの開発費を賄える製品は限られる。性能競争でカギを握るのは発した熱を拡散する放熱技術となる。高効率の「相変化型」が主流になりつつある。開発のけん引役は米国のシリコンバレー勢だけではない。存在感を高めるのは中国の新興企業だ。(写真:左上から時計回りにTRIPLE-1、NEC、Bitmain、Apple、ディラック、NVIDIA)

ここ数年、半導体先端プロセスの製造ラインを真っ先に埋めてきたのは、スマートフォン向けだった。それが今や超高速マシン向けに変わろうとしている。回路パターンを露光するマスクの開発に数百億円かかる先端プロセスでは、1品種で出荷数が数百万個規模の「スマートフォン向けでさえ、回収が見込めない恐れがある。(次の主役は、高い収益性が期待できる仮想通貨をはじめとする)Fintech(フィンテック)向けや、(開発費をいとわず性能を求める)軍事向けになるだろう」(野村證券 金融経済研究所 企業調査部 シニアアナリストの和田木哲哉氏)。

 しかも仮想通貨マイニング用ASIC市場を主導しているメーカーは、シリコンバレーに本社や研究施設を置いてハイテク業界の市場を創出してきた米国系企業ではない。市場を立ち上げ、伸ばしているのは、中国の新興企業Bitmainだ。7nmプロセスのASICを開発したTRIPLE-1やGMOインターネットに先立つこと3~4年前から始動している。

 Bitmainは、2013年の創業から急成長を遂げて2017年に40億米ドル近い利益を上げたとされる。40億米ドルという数字は、自動運転向けAI(人工知能)の演算チップを開発しシリコンバレー企業の中でも破竹の勢いを見せる米NVIDIAがほぼ同期間に稼いだ利益を上回る。仮想通貨マイニング用マシンで業界1位がBitmainなら、同2位の企業も中国企業だ。香港に本社を置くCanaanである。

 マイニング用マシンや半導体での中国新興企業の台頭は、米国産業界の危機感をあおり、中国との半導体貿易摩擦に火を注ぎかねないほどの脅威になっている。


パナソニック、米テスラ向け米電池工場が四半期で初の黒字

2020年02月04日 07時22分18秒 | 日記

 

ロイターが『パナソニック、米テスラ向け米電池工場が初の黒字』と伝えていた。2014年にギガファクトリーを作って以降、赤字が続いていたが、やっと黒字になったと言う。このギガファクトリ、EV車の電池だけでなく再生エネルギー用の蓄電池用途でも再生エネルギー、思ったほど転換していない。石化エネルギーに固執する企業の政府への圧力が大きいのだろう。一方、テスラ、時価総額がトップになっているが、まだ、EV車の普及進んでないから、売上、マツダ、三菱自動車とかと大差ない。これがギガファクトリが、長く赤字続きであった理由だろうか?

売上の推移を見ても意外に小さい。とはいっても3兆円近いが、世評の割には小さい。利益率が20%近く、アメリカの企業はどこも、利益率が高いのはどういう事だろうか? トヨタは売上が30兆円もあって、利益が2兆円強あるが、利益率は8%。

 

[東京 3日 ロイター] - パナソニックは3日、米電気自動車(EV)メーカーのテスラ向け米電池工場(訂正)が四半期ベースで初めて黒字化したことを明らかにした。両社は2014年に協力して電池工場の建設で合意し、これまで赤字が続いていた。

決算会見で梅田博和CFO(最高財務責任者)が述べた。両社は米国でギガファクトリーと呼ばれる大規模な電池工場での生産で協力しており、3月末までに生産が年32ギガワット毎時まで引き上がる見通しだとした。同工場の生産能力は35ギガワット毎時。

テスラが29日発表した第4・四半期決算は、納車台数が過去最高水準に達し、2四半期連続で黒字を確保した。

パナソニックが同日発表した2019年10─12月期業績(国際会計基準)は前年同期比で増益となっており、テスラとの協業の改善も寄与した。

4─12月期の営業利益は前年比17.8%減の2406億円だった。売上高は前年比5.4%減の5兆7556億円。

海外では車載電池が伸長した一方、テレビの苦戦や中国市況悪化の影響を受けた車載機器などの販売減で売り上げが落ち込んだ。

為替の年間見通しは1ドル108円(10月31日時点107円)、1ユーロ120円(同118円)とした。1人民元15.6円は変更しなかった。

2020年3月期の業績予想は据え置いた。営業利益予想は前年比27.1%減の3000億円で、リフィニティブが集計したアナリスト20人の予測平均値は2951億円。

*見出しと本文の「米テスラとのバッテリー事業」を「米テスラ向け米電池工場」に訂正します。