先端技術とその周辺

ITなどの先端技術サーベイとそれを支える諸問題について思う事をつづっています。

サムソンがスマホの世界市場トップにいられる理由は?

2020年06月22日 06時53分37秒 | 日記

 

世界のスマホ市場の占有率トップは、CnetやBCNがアメリカの調査会社IDCの調査報告を、以下に展開したように、この数年はサムソンがAppleを抜いてトップにいる。そして、2020年に入ると、コロナ災禍で、スマホでは最大市場の中国のスマホ購入が落ち込んでおり、このため、サムソンは、インド市場開拓に力を入れ始めたというし、中国のメーカはさらにアフリカとSIMフリーで日本市場開拓に力を入れ始めているという。

 

さて、なぜ、サムソンがトップにいられるか不思議に思う。PC 自由帳というサイトにスマートフォンのCPUとGPUの性能比較表が出ていてそれを見ると、特段、サムソンのスマホGalaxyのCPU(ExynosというARMベース)やグラフィック・プロセッサーの性能が良くはない。システム上の優位性は特に感じられられない。やはり営業政策に優れているのだと思われる。

スマートフォンCPU性能比較表(Geekbenchのシングルコアとマルチコアのスコアを掲載)

 
プロセッサ スコア(マルチコア) コア数
クロック
搭載端末(例)
Apple A13 Bionic
13700
6 1.8GHz iPhone 11,11 Pro,11 Pro Max
Snapdragon 865
13200
8 1.8GHz Glaxy S20/LG V60 ThinQ 5G/AQUOS R5G
Kirin 990 5G
12350
8 1.95GHz  
Kirin 990
11640
8 1.86GHz  
Snapdragon 855 plus
11380
8 1.8GHz ASUS ROG PHONE II/Galaxy Z Flip
Apple A12 Bionic
11267
6 1.5GHz iPhone XS,XR,XS Max
Snapdragon 855
10705
8 1.8GHz Galaxy S10/Google Pixel 4/Xperia 1,5
Exynos 9825
10500
8 1.95GHz Galaxy Note10
Apple A11 Bionic
10188
6 2.39GHz iPhone 8,8Plus,X
Exynos 9820
10000
8 1.95GHz Galaxy S10

 

スマートフォン用GPU性能比較表(スマートフォン用のSoCに搭載されているGPUの、ゲームのグラフィック描画性能を比較。掲載スコアは、『3D Mark Ice Storm Unlimited 1280×720 オフスクリーン』のGraphics Score)

  3D Mark 搭載SoC(例)
A13 Bionic GPU
208697
Apple A13 Bionic
A12 Bionic GPU
160199
Apple A12 Bionic
Adreno 650
147310
Snapdragon 865
A11 Bionic GPU
112489
Apple A11 Bionic
Adreno 640
106814
Snapdragon 855,855 Plus
Adreno 630
81385
Snapdragon 850,845
Mali-G76 MP16
70607
Kirin 990,990 5G
Mali-G76 MP12
68654
Exynos 9825,9820

 

 

本題の、世界のスマホ市場であるが、日本のIT雑誌社BCNが、アメリカの調査会社のIDCの1月30日発表した2019年の世界のスマートフォン(スマホ)出荷台数シェアを以下のように掲載している。トップは相変わらず、サムソン、2位にAppleを抜いて浮上しているのがファーウエイ。この3社で、世界のスマホ市場の半分を抑えている。


 具体的には、トップがサムスンで21.6%、2位がファーウェイで17.6%、3位がAppleで13.9%、4位がシャオミで9.2%、5位がOPPOで8.3%となった。

 18年は、2位のAppleの14.9%に対して、3位のファーウェイが14.7%のわずか0.2ポイント差で肉薄していた。19年は、米中の貿易問題の影響を受けたファーウェイだったが、中国での販売を増やすなどしてAppleを抜いた。

 19年の世界出荷台数は、13億7100万台で前年比2.3%減と前年を下回った。IDCでは「貿易戦争はまだ解決されてなく、武漢のコロナウイルスに関する新たな不確実性が浮上。ファーウェイだけでなく、すべてのスマホプレーヤーの中国におけるサプライチェーンで困難な状況が続くだろう」としている。 
 
 
2020年第一四半期の世界のスマホ市場調査を同じくIDCが行っていて、CNetが解説していた。それによると、2020年第1四半期の出荷台数は2億7580万台で、前年同期の3億1230万台に比べ11.7%減。この減少率は、調査を開始して以来、最悪だそうだ。

 出荷減少の要因として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック、中国のロックダウン、そして世界各地でロックダウンが実施されたことを挙げる。中国は地域別で出荷台数の落ち込みがもっとも激しく、前年同期比20.3%の減少となった。世界出荷台数の4分の1近くを中国が占めているため、全体に影響を及ぼしたという。

 

 世界がスマートフォンに関して中国のサプライチェーンへ依存していることもあり、他地域の出荷台数も大きく影響された。たとえば、米国は前年同期比16.1%減、欧州は同18.3%減となった。

 2020年第1四半期における出荷台数の上位5ベンダーなどは以下のとおり。括弧内は、いずれも前年同期の数値と前年同期比。

●1位:サムスン電子

  • 出荷台数:5830万台(7190万台、-18.9%)
  • 市場シェア:21.1%(23.0%)

●2位:Huawei Technologies(ファーウェイ)

  • 出荷台数:4900万台(5910万台、-17.1%)
  • 市場シェア:17.8%(18.9%)

●3位:Apple

  • 出荷台数:3670万台(3680万台、-0.4%)
  • 市場シェア:13.3%(11.8%)

●4位:Xiaomi Technology(シャオミ)

  • 出荷台数:2950万台(2780万台、+6.1%)
  • 市場シェア:10.7%(8.9%)

●5位:vivo

  • 出荷台数:2480万台(2320万台、+7.0%)
  • 市場シェア:9.0%(7.4%)

●その他

  • 出荷台数:7750万台(9350万台、-17.2%)
  • 市場シェア:28.1%(29.9%)

●合計

  • 出荷台数:2億7580万台(3億1230万台、-11.7%)
出荷台数(出典:IDCの公表データをグラフ化)
出荷台数(出典:IDCの公表データをグラフ化)
出荷台数ベースの市場シェア(出典:IDCの公表データをグラフ化)
出荷台数ベースの市場シェア(出典:IDCの公表データをグラフ化)
出荷台数ベース市場シェアの推移(出典:IDC)
出荷台数ベース市場シェアの推移(出典:IDC)