日経によると、『中国、環境車優遇にHVも 日本勢に追い風』という。トヨタが最初に開発した、巡航時にはモーターで、そして坂道等馬力を要する場面では従来のガソリンエンジンで対応するというハイブリッド車は自動車の歴史の中では画期的な日本が誇る発明である。中国のHV のカテゴリーに入るか否かは不明だが、日産のガソリンエンジンで電気を起こし、その電気でモーターを回して走行するというe-powerも画期的な発明である。中国はガソリン消費抑制と多分環境問題対応で、低燃費車優遇策を2021年1月より実施するとのことで、日本車にとっては、中国市場を拡大する意味でも追い風の政策であろう。
トヨタは中国でのHV販売比率をグループ全体で約3割に高める計画だ(広州市の販売店)
【北京=多部田俊輔】中国政府がハイブリッド車(HV)を「低燃費車」と位置づけて優遇する政策を最終的に決めたことが22日、分かった。2021年1月から実施する。これまではガソリン車と同一視してきた。電気自動車(EV)の販売低迷を受けて、環境対策の加速にはHVなどの普及が必要だと判断した。
HVはトヨタ自動車やホンダなどが強みを持つ。世界の新車販売の3割を占める最大市場である中国の方針転換は、日系大手に追い風となる。独フォルクスワーゲン(VW)など欧米大手や、中国メーカーの戦略にも大きな影響を与える。
■管理規則を修正、ガソリン車の中に「低燃費車」
中国政府は22日、乗用車の燃費改善や新エネルギー車(NEV)の普及を促進する管理規則の修正を発表した。HVなど低燃費車の優遇策を盛り込んだ。対象にHVとの明記はないが、低燃費車の代表であるHVが含まれることは確実だ。
中国は19年にEVとプラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)を新エネ車として普及を後押しする「NEV規制」を導入した。ガソリン車を製造販売するとマイナスポイントを与え、新エネ車の製造販売で得られるポイントで穴埋めするよう求めるものだ。
HVはガソリン車と同じ扱いだった。
メーカーは新エネ車の製造販売台数を増やすことが経営課題になった。そうしないと現在の主力であるガソリン車の製造販売台数は拡大どころか維持すら難しくなるからだ。
22日に発表した管理規則の修正では、ガソリン車の中に「低燃費車」を新たに設定した。この規制上、通常のガソリン車の0.2~0.5台分と見なす。HV1台を造った場合に必要となる新エネ車の台数は、ガソリン車を造った場合の2~5割で済む計算だ。
複数の合弁会社を持つ外資メーカーが、グループ間でポイントを融通することも可能にした。
業界関係者の間では「低燃費車」は燃費の良い上位5%が指定されるとの観測が浮上している。地元中国のメーカーの中でも技術力で劣る中堅にとっては事業環境が厳しくなりそうだ。一方、海外ブランドとしては中国市場でトップシェアを持つVWなど、低燃費技術の蓄積がある海外大手には好材料だ。
中でも恩恵が大きいとみられるのがHVを得意とする日本勢だ。トヨタ関係者は今回の政策変更を聞き「いい話だ」と語った。世界初の量産型HVである「プリウス」の中国生産を始めたのは05年のことだ。ようやく政策面の優遇を得られることになった。
10年にはハイブリッド技術を現地開発するための研究施設も造った。トヨタの中国販売に占めるHVの割合は19年実績で約16%。20年代にはトヨタブランド全体で約3割まで高める計画だ。
ホンダも今回の修正について「歓迎したい」とコメントした。ホンダの世界販売に占める中国市場の割合は、19年度で3割ほどに達する。HVの販売比率でも中国は9%と北米(3%)や世界全体(8%)よりも高いため、今後も積極的に製品を投入する方針だ。
■石油の輸入量抑制の狙いも
中国政府は22日の発表に先立ち、19年7月に修正案を発表していた。その際は低燃費車をガソリン車0.2台分とみなしたが、同年9月の再修正案では0.5台分として、優遇幅を縮小した。最終的には新制度を施行する21年当初こそ0.5台分としたが、22年に0.3台分、23年に0.2台分と、ガソリン車に比べた優遇幅を段階的に拡大する仕組みにした。
米中対立が激化するなか、石油の輸入を減らすために低燃費車を優遇すべきだとの意見が政府内で強まったとみられる。最近の新エネ車の販売低迷を受けて、環境政策の面からも低燃費車を重視すべきだとの考え方が広がったようだ。
今回の修正には、新エネ車の性能を厳しく評価する変更も盛り込んだ。業界関係者によると、新エネ車の生産によって得られるポインは5%程度減る見通しという。これまでは新エネ車であれば無条件で優遇されてきたが「燃費の性能をしっかり見極める時代になる」(外資系大手幹部)。