過日、六本木の東京ミッドタウンに出向いたときのこと。ミッドタウン半日歩き回ってきものを着ている人に出会ったのは、帰りがけに出入り口での中高年女性一人であった。何十万人に、一人と言うことになる。
粋な着こなしのその女性に声をかけてみると、少し太ってきたから体形を隠す為にきものを着ているとのことであった。
当節、日常に街なかで普通に行き交う人の中で和服姿の人は誠にまれである。
婦人雑誌や、きもの関連雑誌などで、モデルさんや、女優さんが きれいにきものを着ているのは、編集者の作り事で、絵になるように出来ている。
現実の世界と著しく乖離しているように思える。
現実の着物姿が、そのまま映し出されて まともなのは、小津安二郎監督の映画に見るような場面で、昔の大女優がごく自然に着ている姿だ。
現代の映画やドラマでも、女優さんのきもの姿のシーンは出てくるが毎日きものを着て生活をしてない人の場合は、着物を着せられて演技をしているように見て取れる。
そこえ行くと、さすがに歌舞伎界の人たち(役者夫人)は、文句なしに着物姿が板についていて何の違和感もない。むしろオーラさえ感じられる。
素人の女性も、きものが好きで毎日の生活をきもので通している人は、そのまま「きもの美人」の称号を差し上げたいほどである。
これから「きものの現場」では、次の事柄で展開して行こうと考えます。(単なるきものウオッチングで、大上段に構えて論じる事でもないのでお気軽にどうぞ。)
1)きものを着ている人と、その場面。
2)きものの流行、(主として、昭和30年代以降の)。
3)きものの着こなしと、コーディネイトを見る。
4)きもののこれから。
1)のきものを着ている人と、その場面について
イ、職業的にきものを着ている人。
ロ、習い事できものを着る人。
ハ、きものが好きで、毎日のようにきもので生活している人
ニ、冠婚葬祭できものを着る人。
ホ、リサイクルきものを買ってアンティークに着る人。
場面の例・観劇、相撲見物、和食レストラン、和の場面、茶会、舞踊の発表会、一流デパートや、呉服店の顧客としてショッピング、夏の花火大会などでの若い人のゆかた、結婚式場、神社仏閣、観光などなど。
鳥の目、虫の目できものを見てゆきます。次回から具体的に記事にしてまいります。