『あざみの歌』は まだ歌えますか

泣いて、笑って、歌って介護!!そんな日常の過去の記録と
新たに今一度自らを見つめてぼちぼちと戯言なりを綴ります。

時の逆流

2010年05月26日 04時53分50秒 | 日々の出来事
お城の大きなお堀の側に、お宮さんに続く小さなお堀がありまして
鯉やフナの泳ぐ浅い小川沿いの小道に入ると、何やらちょこんと座る可愛い影。


              
            
                 あっ!河童!!



            

    愛想の良い子河童が手を差し伸べるので、照れながら握手すると
    ほれ、悪戯好きの子河童は、橋から水を噴出させて驚かせてくれましたよ。


                

   「かぁちゃん、こんな所で寝たら危ないよぉ。人間につかまっちまうよぉ。」
        と、不安げに子河童が母親を揺すり起こそうとしているのに、
            おかまいなしにお昼寝中の母さん河童。
       それを遠くから、岸辺にも寄らずにこっそり見ている父さん河童。
           何かあったら飛んで出ようとしているのか、
   「うちの母ちゃんは、すっごいなぁ、怖い物なしだ。」と感心しているのか・・・
  河童でない私には彼の気持ちは計り知れないけれど、何処の世界でも母は強いらしい。


      やがて、大きなお宮さんに差し掛かる頃、河童たちはなりを潜め、

                 

 仲間がみんな家々に帰った事を確認するように、長老河童が座って辺りを見ておりました。



20年近く前になるだろうか・・・
駅近くの商店街のアーケードを抜けてこの道を家族4人で逆方向から歩いた事がある。
おっかさまが義姉の所に住まいを移す為の引越しの手伝いの帰り道。
もう、ここには来る事はないかしらん・・・と寂しく思ったその道を
大きくなったチビ達と一緒にまた家族4人で歩いた。

ぺこちゃんが家に来るひと月前に、もう家族旅行なんて出来ないだろうと
4月の北海道へと初めての国内旅行に出掛けてから9年。
おっかさまが「たまぁやけん、よかやなかね。」と背中を押してくれたのか、
Ⅰも何とか仕事が休めそうだと、最終の飛行機でやって来て、4人が久しぶりに集合。

あの頃、繁華街だった大きな商店街は、ほとんどがシャッター通りになり
アーケードの半分は撤去され、イベント会場も柵で囲われていた。
郊外に大きな多目的スーパーが二箇所も出来、人の流れがすっかり変わってしまったらしい。
夜8時を過ぎると、駅前の大通りなのに、お酒の飲めるお店の灯りがまばらに燈るだけ。
あの頃はこんなじゃなかったよね・・・懐かしさより寂しさが先に立つ。

どこへ行きたいかと愚息達に尋ねると、ばぁちゃんの家だと言う。
まだあるかしらと通りすがれば、古ぼけた小さなアパートはあの頃のままだった。
1年に1度か2度しか帰らなかったのに、背の君すら住んだ事のないその家で
「おかえんなしゃい。」と迎えてくれたあの笑顔がまだそこにあるような気がした。


一瞬、時が・・・時が、一気に遡る。






             
コメント
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