線路と国道と川面とが並ぶ懐かしい風景・・・胸がきゅんと・・・痛い。
電車には扇風機。これもまた懐かしい。ただ、私が小さい頃はまだ、蒸気機関車が走っていた
電車の扉の横のボタンは、こちらは御初にお目にかかった。降りる時は一両目しか開かないので要注意。
電車の待ち時間が30分あったので、私の産まれた街で途中下車。駅舎がすっかり変わって、よその駅になってた。
駅前から見える、こんもり茂った木々の傍にあった3歳半まで暮らした家も、今はもうない。
ゴム巻き式のおもちゃのプロペラ飛行機を飛ばして遊んだ神社の境内に続く石段はまだあるのかな?
当時、近くの親戚の家では柳で編んだバスケットを造っていたけれど、今は高価な値段がついていて驚いた。
数少ない記憶の中にある街は年を追う毎に覚えている場所が益々少なくなっていた。
結婚した年に背の君と、かぁちゃんとオヤジさんと4人で来たっきり。
そういえば、あの頃はまだギリギリの所でかぁちゃんとオヤジさんは夫婦だったんだ・・・
駅のホームで二人でかりんとう饅頭を食べながら再び2両編成の電車に少しの間揺られて
今回の旅の本当の目的地に到着。
小さい頃随分大きいと思っていた石灯籠はこじんまりとして
傍にあったグミの樹は・・・いつから無くなったのかな?
かぁちゃんが生まれ育った家の庭。
ぴぃが産まれた家でもある。
伯父の調子が悪いのだと聞いたのが一昨年。一時は入院をしていたけれど、今は自宅療養中。
早く会いに行きたいって思っていたけれど、
私が一人で行くと却って大事だと伯父に思われてしまうので、どうしようかとずっと迷っていた。
でもついに、とっても素敵な言い訳が出来たのだ♪
「背のさんが定年でさぁ、記念に温泉に泊まって蟹食べに行くから、帰りにちょっと寄るね。」
うん。うん。バッチリ従兄の嫁さんに余計な気遣いをさせなくて済むのが尚バッチリ♪
今回のWショートはⅡの用もあって京都に一泊で出かける予定で取っていたのだけど(無論独りで)
この次の予定が全く立たないと分かった時、優先順位の一番目に決めた“行かねばならない場所”
本当に行けた事が嬉しくて
伯父が思いの外元気そうだったのが嬉しくて
兄ちゃん夫婦と馬鹿な話をしてケラケラ笑っていられる事が嬉しくて
ほんとに嬉しくて・・・長い間思い続けて来た心の重い所が少し軽くなった。
あのね・・・温泉街から少し離れた宿を選んだのは、伯母が見つかった場所に近かったから。
「おばちゃん、こんなに海が近かったんだねぇ。海まで流されんで良かったなぁ。」
やっとそんな風に伯母に話す事が出来た。
私はもう川を見ても苦しくならない
次のかぁちゃんのショートの時には堤防に上がって背の君の散歩について行こう。
目を伏せずに夕陽に反射する川をしっかり見て来よう。
今回の節目の旅は区切りの旅。ほんとに、ほんとに良い旅となりました。