散歩写真をBGP(Back ground Photo)に
日々の徒然、主にたべもの。
わたしの居場所~M's Lunch Boxes



夏に訪れた東京都庭園美術館
その展示もさることながら、わたくし的にはその建物に射抜かれまして、
通常は公開されていない秘密の小部屋たちが観たくてたまらない。

…で 昨年暮れから期間限定で公開中の特別展、朝香宮のグランドツアー
行ってまいりました。旅行の後では終わってしまうので。


こちらの庭園美術館の建物は 昭和8年に建てられた朝香宮の宮廷で、
当時の最先端の装飾技術と言われたアールデコが採用されています。
(もうこの時点で pさん萌え萌え・笑)


この朝香宮ご夫妻がパリでアールデコに出会うのには
なかなかドラマチックな事件があります。


当時35歳の朝香宮鳩彦王は、当時の英国貴族の子弟のようにヨーロッパへの遊学に旅立ちます。
在欧の従兄夫妻らと交流しながら、遊学生活を楽しむ中、ある日m、従兄夫妻とドライブに出かけます。
そこで、不幸にも交通事故を起こしてしまい、運転していた従兄の成久王は亡くなり
その妻房子妃と 鳩彦王は一命を取り留めます。

この事故を受けて鳩彦王の妻、允子妃が単身マルセイユに向かうことになります。


この後 夫妻のパリ生活が始まります。
1925年に パリで「現代装飾美術・産業美術国際博覧会」(アールデコ博覧会)が開催され
夫妻がアール・デコに造詣を深めて行くわけでございます。
このとき出展していたアーティストには、ガラス工芸のラリックやインテリアデザイナーのラパンなどがいます。

庭園美術館を見学していると ラパンのサイン入りの壁紙とか
ラリックのガラスの花器などが目に付きます。
そして、夫妻の帰国後、白金に新邸宅を構えるに当たり、アール・デコ形式をふんだんに取り入れたものが
出来たということになります。


食堂の照明も細かい細工がなされて魅力的。


階段の手すりにも。


この季節が一番効果を発揮するのではないかと思われる 陽のあたるベランダ。

照明器具も 部屋ごとにデザインが違って、ここゆえにこれ の面白さ。


これは 夫妻が帰国時に持ち帰った ロイヤルコペンハーゲンの「三羽揃ペリカン(ペンギン)」の置物。
なんとも 上品でコミカルで ペンギン好きにはたまらない。

この時代は 海外の文化を取り入れるのはごく一部の身分の人たちに限られていただろうし
その中でも そういったものに反応できる能力のあるさらに限られた人たちでないと
その良さを日本の文化の中に取り入れることができなかったであろうし
そういった意味では 今 この時代よりもずっとずっと 未来が輝いていたんだろうなぁと
毎度のことながら楽しませていただきました。


こちらは最後に プラチナ通りのビル。
細い線種で始まった蔦のストロークが、この後どんなふうに壁を彩っていくか 楽しみ。




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