国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

中近東イスラム圏は中国のように「西欧文明化」することが可能か??

2007年11月02日 | 中近東地域
中国の「改革開放政策」とは、福沢諭吉の唱えた「脱亜入欧」の中国版である、という林思雲氏の主張は実に興味深い。日本はそれ以前の古い文明を棄てて西洋の新文明を全面的に導入したが、中国は旧い中華文明を堅持し続けるために西洋文明を学んだに過ぎなかったことがかつての中国の停滞を生み出したという内容である。中国が中華文明堅持に執着したのは、大文明国としての自信か、あるいは日本と異なって他の文明に学ぶという経験がなかったことが理由であろうと想像される。 私がこの文章を読んで考えたのは、停滞を続けるイスラム社会のことである。日本文明の源流が中国文明であるのと同様に欧州文明の源流は中近東文明であり、現在のそれはイスラム文明と同義である。中国が西欧文明化に踏み切って先進国への道を歩み始めることが出来たのに対して、イスラム社会は西欧文明化に踏み切ることが出来ずに停滞している。それはかつての中国の停滞と同じ理由なのかもしれない。そして、イスラム社会が停滞を脱するには、何らかの形で脱イスラム化を行うことが必要になるだろう。しかし、イランやサウジアラビアに代表される様に、トルコを除く中近東イスラム圏の政治はイスラム教の教義(イスラム法)に深く支配されている。つまり、支配階層であるイスラム学者(ウラマー)自身が脱イスラム化しなければならないのだ。それが果たして可能なのだろうか?私は正直なところ、中近東地域の文明化=西欧文明化は困難なのではないかとも感じる。イスラム社会に詳しい皆さん方の御意見を伺えれば幸いである。 . . . 本文を読む
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