国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

ロイターが100円を割る大幅な円高は起きないだろうと予想:ドル暴落は1ドル100円で収まるか?

2007年11月13日 | 米国
ここ数日、急速な円高が進行中である。今月はじめには114円台だったのが今日は109円台に突入している。この動きを受けて12日のロイター通信は円キャリートレード解消の動きと分析し、105円付近まで円高が進むが100円を割るような大幅な円高は起きないだろうと予想している。しかし、100兆円規模とも言われる膨大な金額の円キャリートレードが巻き戻されれば、円高が105円で済むはずがない。前回円キャリートレードが巻き戻された1998年のLTCM破綻時では一日で10円、三ヶ月で30円も円高が進んでいる。今回はキャリートレードを手がける金融機関の数も増加していると想像され、更に大規模なドル暴落が起きることが想像される。かつてこのブログ記事で触れたとおり、1ドル50円~60円という一見突拍子もない水準に到達するまでは円高が止まらないのではないかと想像する。 テロ戦争突入以後、米国は膨大な経常赤字を記録している。この経常赤字は主に日本・中国・中東産油国の三つの地域からの対米投資によって埋め合わせされてきたと想像される。日本政府は2004年3月16日を最後に以後為替介入を行っておらず、最近の日本から米国への資金流入は実はこの「円キャリートレード」が主役になっていたのではないかと私は想像する。また、中国と中東産油国は通貨をドルに対して固定しており、広義のドル圏を形成することでドルの暴落を阻止してきた。しかし、今や両地域は資産をドル以外の通貨に振り向けようとしている。ロイター通信は13日に、ペルシャ湾岸産油国が通貨のドルペッグ制から離脱する可能性を報道している。仮に円キャリートレードが解消されてドルが円に対して暴落すれば、中国と中東産油国は米国の経常赤字埋め合わせの重荷を一手に引き受けさせられることになる。それは両地域内での激しいインフレを招くと想像され、それを回避するために中国と中東産油国は通貨のドルペッグを急遽廃止することだろう。そして、経常赤字の埋め合わせ先三つを全て失ったドルは暴落することになる。 . . . 本文を読む
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