国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

韓国国会議員が北方領土を訪問:韓国の意図は何か?

2011年05月28日 | 韓国・北朝鮮
この訪問は微妙な問題を孕んでいる。北方領土問題は日本がロシアと親密な関係を持ち米国に対抗してくることを防止するために米国が作り上げたものであり、それ故に国際法上は日本が放棄した北方領土を日本が領有することを米国は支持している。米国の属国である韓国が北方領土がロシア領であると認めることは米国の世界戦略に対する異議申し立てに繋がるのだ。それ故に韓国政府は今回の訪問を、野党議員の行動であって政府は関知しないと表明しているのだろう。しかし、その一方で韓国政府は外交文書を通じてキャンセル待ちであった国後島への国内航空券の確保を要請している。このことは、今回の訪問を韓国政府が非常に重視しており、事実上の国策であったことを示している。 韓国政府の意図は二つあると思われる。一つは、竹島問題で日本に対する強硬姿勢を示すことで、日本が竹島領有を諦めてくれる可能性に賭けることである。二つ目は、北方領土問題を抱えるロシアと領土問題で手を組んで竹島問題で日本に対して優位に立つことである。ただ、現実にはこの二つの意図は失敗に終わる可能性が非常に高い。日本は竹島問題を韓国をコントロールする手段として温存してきたと考えられるので、韓国が滅亡するまでは譲歩することはないし、韓国が滅亡すれば譲歩する必要が亡くなるからだ。また、ロシアは中国・米国という二つの超大国に対抗する為に日本との友好関係を必要としており、その為には領土問題で譲歩する可能性が十分あり得ると考えられるからだ。東日本大震災の直後に、人道的見地から北方四島を日本に引き渡そうという主張がロシア大衆紙「モスコフスキー・コムソモーレツ」で行われたことはその一貫であろう。一方、ロシアにとって韓国の重要性は著しく低い。韓国は地理的条件から周辺大国に対抗することが困難であり、外交上独自のプレーヤーになれないからだ。 . . . 本文を読む
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