計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

師走の恒例行事

2007年12月09日 | 気象情報の現場から
 さて、今は丁度12月の上旬。私にとっては・・・泣く子も黙る恐怖の「精度検証報告書」の季節。また、この季節がやってきました・・・。

 基本的に技術資料や研究論文を書く事それ自体は別に苦ではないので(むしろ好きな方です)、実際に色々な資料をこまめに纏めているわけですが、この「精検」だけは別です。私にとって最も恐ろしい業務と言っても過言では無いでしょう。この報告書で苦しむのは、もはや毎年の恒例行事となりました。この週末も掛かりきりです。もちろん肝心の境界条件の研究開発などそっちのけ(爆)。

 昨年の丁度同じ時期にも書きましたが、この報告書は顧客にも提出する書類なので、専門用語や難しい解釈は厳禁です(でも実際にはそれなりに含まれているようですが)。その一方で、予測精度をまとめて「今年の精度は○○でした」と言うだけではなく、精度のup/downに関してその原因についても言及し、考察を展開しなければなりません

 勿論、自分で開発したシステムによる予測の誤差であれば、それこそ嬉々としていろいろと書けるのですが、 私が担当している部分は、自分が行った(もしくは開発した)予報の検証ではないので(←正確には、国内某所から配信されてくる予測データに関するもの)、誤差の原因を突き止めるといっても、なかなか一筋縄ではいきません(まさに限られた情報から全体像を推理するものです)。それでも、数値計算の予測限界についてはこれまでの経験や知見からある程度は突き止める事ができます。

 しかし、何とか原因を突き止められたとしても、色々と制約のある中で(例えて言えば「己の個性を殺しながら、己の個性を活かせ」と言うこと)、考察を展開しなければならないので何とも・・・。色々な言い回しを巡り巡って、推敲を重ねて、思案の繰り返しの末・・・結局当たり障りの無い没個性的な文章になってしまうのです。で、あえなくリライトの指示・・・この禅問答?のような繰り返しが延々と・・・。それでも、前の職場のDR議事録作成を思い返せば、まあ今の精検の方が遥かにマシではありますが・・・、DR議事録については知る人ぞ知る伝説と言うに留めて置きましょう。

 ちなみに昨年は、非常に追い詰められた状態でありながら?それでもしっかり期限内に仕上げたものの・・・最終調整で私の考察は大幅にカットされ、折角の苦労があっけなく、まるでスターマインの如く空中爆破されるに至った訳です。その前の年も脳味噌流血の状態まで考察を纏め上げたにも関わらず、バッサリ切られてしまった・・・。その度に「あの地獄の苦労は何だったんだーーーぁ!!」と叫びたくなるのですが、あくまで「叫びたくなる」程度に留まっています。でも、今年はさすがに、夜空に向かって「叫びだす」かもしれません。

 丁度マンションの近くに大きな川が流れています。人知れず川岸で「あの苦労は何だったんだーーーぁ!!」と夜空に向かって叫んでいる人間がいたら、それはひょっとすると・・・私かもしれません。マレーグマのツ○シ君じゃないけど・・・今日も頭を抱えております。
コメント (2)
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