計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

冬型の気圧配置と上空の寒気

2013年11月10日 | 気象情報の現場から
 低気圧や寒冷前線は東へと抜けて行ったようですね。どうりで午後には雨が強かった。


 さて、気圧配置を見ると「冬型の気圧配置」になってきました。

 テレビの天気予報でも
 「上空では平地でも雪を降らせる寒気
 なんてフレーズが( ̄▽ ̄;)。嫌ですね~

 ちなみに「上空の寒気」について良く使われるのは主にこんなパターンです。

・上空5500m付近(500hPa)で -36℃以下・・・大雪の目安
・上空5500m付近(500hPa)で -30℃以下・・・ 雪の目安
・上空1500m付近(850hPa)で  -6℃以下・・・(平地等での)雪の目安
・上空1500m付近(850hPa)で  -3℃以下・・・(平地等での)霙の目安
・上空1500m付近(850hPa)で   0℃以下・・・(山間部での)雪の目安
 (※数字の表記は多少変わる事があります。)

 ちなみに、地上における海面更生気圧と、上空の850hPa、500hPa等圧面のイメージはこんな感じです。



 ちなみに、高層天気図の詳しい解説は「高層天気図の見方・ポイント解説」まで。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東北地方の日本海側および北陸地方で特に大雪となりやすいのは・・・

2013年11月10日 | お天気のあれこれ
 冬が近づいてきます。

 冬と言えば、やはり日本海側の地域、特に東北地方の日本海側および北陸地方では大雪という試練の季節でもあります。なぜ、この地域で特に大雪となりやすいのか。その辺の事情を取り上げてみます。

 冷たい冬の季節風は、遥かシベリアの方から日本海上を経て日本列島に吹き付けてきます。その日本海上では、対馬暖流の北上が卓越します。


 シベリア付近に生じるシベリア気団冷たく乾いた空気の集団です。しかし、日本海上を吹走する際に、海面から水分を補給され、湿っていきます。さらに対馬暖流の影響で海面から熱エネルギーも補給され、対流が活発になっていきます。


 どれだけの間、このような補給を受け続けるかによって、その後の雲の発達度合いも変わってきます。


 つまり、この吹走距離が長ければ長いほど、海面からの熱と水蒸気の補給量は多くなります。すなわち対流がより活発化し、雲に含まれる水分量(つまり、その雲からもたらされる雪の量)が増す、ということになるのです。これらの一連の過程に伴って、背の低い雪雲が生じる。この高さは通常2000~3000m程度です。


 さらに北陸地方の降雪を考える上では、日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)の発生も重要です。朝鮮半島北部の山岳の影響により、シベリア気団からの寒気の流れが二分された後、下流側で再び合流する際に収束線(収束帯)を形成します。これを日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)と言います。JPCZのライン上では、しばしば小さな低気圧が発生し、その中心では積乱雲が発達します。これらがラインに沿って北陸地方に近づいてくるのです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする