随分と間が空いてしまいましたが、久し振りに がん関連本を数冊読んでみました。
医療分野も相変わらず次々に新刊が出版され、新しい療法や研究が発表されるわけです。
今回はかなり斬新な内容の新刊に遭遇し、少なからずショックを受けた印象です。
それが コチラ です。
タイトルからしてインパクトがあるというか、それだけで興味津々の一冊でした。
永きにわたり 前立腺がん の検診と治療に携わってこられた臨床の先生により書かれた本ですが、予防のために行われている検診が結果的には過剰診断の要因になっているという ある意味では非常にショッキングな内容です。厚労省と保健所が盛んに集団検診を宣伝し、住民の受診を推進するものの 受診率はせいぜい3割程度と一向に伸びない。その原因について、日本人 特有の集団意識があるとか ユニークな解説も興味深いです。がんの0次予防という、発がんの原因とされる細菌を除去してがんを予防する方策は、それが実現されれば素晴らしいことですが、果たして発がんの原因が細菌感染だと断定できるのだろうか という疑問もわいてきました。
何はともあれ、これまでには見たことのなかった斬新な内容ですので 是非ご一読されることをお薦めします。
先進医療ということで、ゆっくり少しづつ広まってきている 重粒子線と陽子線治療のガイドブックです。
ほんの一部の種類のがんのみが保険適用になり 治療をうけられる方が少しづつ増えてきているようですが、まだ ほとんどのがんは全額負担(300万前後)であり敷居が高いようです。重粒子線・陽子線と一般的な放射線治療との差異が解説されているのですが、我が国では未だに症例が少ないので副作用などについてはまだ不安が残る感じです。
しかしながら、がん細胞をやっつける威力は相当に強いとのことですので、順次早々に保険適用のがん種類が増えることが望まれます。
集団検診を受診し、初期のがんが発見され 慌てて治療を受けられた方が多くいらっしゃいます。
その治療により差し当り がんは無くなり、先ずは一安心となるわけですが、その先に心配になるのが再発や転移という問題です。検診のがん発見精度が上昇し、検診の受診者が増えれば、益々そういった不安を抱えた方々も増えてしまうのではないでしょうか・・・
こちらは操体法という自分自身で身体のゆがみを修正することで健康増進してゆくという内容です。基本的にはがんは生活習慣病であると言われてもいるので、自らの生活習慣を見直すことが重要だと思われます。
コチラは米国で書かれた本ですので、我が国ではいささか事情が異なります。
米国では我が国のような国民皆保険などという安く医療をうけられる環境にはなく、お金持ち以外は病気になってもドラッグストアで薬を買って自分で治す という状況らしいです。したがって万一 がんが発見されても 医療機関に入院・手術などすれば超高額な診療費用がかかるので、おのずと民間医療とか代替医療で治療する人が多いだろうと思われます。それ故、がん治療を専門にする民間療法も盛んであり、受診する人が増えれば治験例も増えるのではないでしょうか、、、
先頭にて紹介した「検診でみつかるがんの8割は良性がんである」は、これまでの医療否定本とは全く異なり、検診の受診率が高まりさえすれば3割の患者が救われる という集団検診の意義を訴えておられます。日本人特有の医療に対する意識などが受診率のアップにブレーキをかけている など一筋縄では進まない現状も明確になっております。