アヴァターラ・神のまにまに

精神世界の研究試論です。テーマは、瞑想、冥想、人間の進化、七つの身体。このブログは、いかなる団体とも関係ありません。

イスラムの聖女ラービア-3

2023-09-14 06:28:17 | 人と神の「実際のところ」

◎天国と地獄を超えて

 

『伝えられるところでは、ある日町の名士たちの集団がラービアのもとにやってきた。ラービアは、そのうちの一人に尋ねた。「あなたは、神を何のために崇拝するのですか」

その一人はこう答えた。「七層の地獄は壮大です。 そして誰もがその前を通過せねばなりませんが、恐怖のあまり、上首尾に通れないのです」

また、ある者はこう言った。「天国の位階は優れた位を持ち、大いなる安らぎを約されております」

ラービアが言った。「自らの神を恐怖ゆえに礼拝したり、見返りを欲して崇拝するとは不届きな下僕です」

すると彼らが尋ねた。「あなたは、なぜ神を崇拝するのでしょうか。あなたには天国への願望がないのですか」

ラービアが言った。「家を求めるはずなのに、まずは隣人を知り、それから、家そのものを求めよ、と言うのですか。私には、彼を崇拝するということだけで充分ではないかと思われます。天国や地獄がなければ、神を礼拝してはいけないのでしょうか。理由もなく、直接に、何の介在もなしに、 彼を崇拝することは間違っているとでも言うのでしょうか」』

(イスラーム神秘主義聖者列伝 ファリード・ゥッディーン・ムハンマド・アッタール/著 国書刊行会P73-74から引用)

 

この地獄が現実界に実現したような時代に生きることは、生きづらいものだ。だから地獄をなるべく避け、天国的なものを希求しつつ生きるのは当たり前のことである。ところがラービアは、地獄の恐怖を緩和し、天国的なものを促進してくれるから神を崇拝するというあり方は、ちょっと違うのではないかと云う。

ラービアは天国と地獄を超えた先に神を見ている。

コメント
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