◎隠された自然の最も内奥の根底へ
(2017-02-05)
ヤコブ・ベーメは、1575年にボヘミアに近いドイツの小村アルトザイデンベルグに農家の五人兄弟の4番目として生まれた。彼は靴職人として靴屋に徒弟として入り、24歳で親方になり、結婚もした。
靴屋の遍歴修行時代の18歳の頃、彼は魂が輝かしい安息に導き入れられ、神的光に包まれて七日間の間、神の観照と大歓喜のうちにあった。
そしてベーメ25歳のときに決定的な15分間の体験とは言えない体験が起こる。彼は再び神的な光に捉えられ、錫の容器にしばらく見入るうちに、彼のきらめく魂の霊とともに隠された自然の最も内奥の根底あるいは中心へと導き入れられたという。
残念ながらこの時起きたことを彼は語るすべなく、そのことが文章に昇華されたのは12年後の37歳の時であり、それがアウローラ(黎明)という著作になった。それまでは、それは起きることは起きたが、彼には理解できなかったというものである。
アウローラの内容は全体的には霊がかりではあるが、世界の創造のあり様をも幻視しており、それなりのレベルではある。
それと15分は、黄梁一炊の夢の時間にも相当し、本人は15分だと感じているが、実際は数秒だったかっもしれない。なんとなれば、彼は蘇生し、生還したからであって、目立った肉体の損傷もなかったように見受けられるからである。
15分も血流が止まっていれば、肉体はいろいろな後遺症を抱えるものなのではないか。
またやはり、「世界の秘密を見た者はそれを語りたがる」の法則があるのだろう。