◎社会的成功と巨額寄付、だが死はすべてを奪うこと
嘘を言わない、善い事をする、悪いことをしない。そういう禁欲的な日々の積み重ねの結果、過去の悪業、悪因縁は徐々に払拭され、お金はたまり、結婚相手にも恵まれ、子孫も繁栄し、畳の上で大往生し、死後は、天国極楽に行く。大学生の初期は、そいう人生観、世界観を当然のものとして信じていた。
ところが先日笹目秀和の『ストップ・ザ・富士大爆発 相楽予言に挑戦!人類の業障と因縁を解く/笹目秀和』を読んでいたら、貧困卑賎の一男性が、北京で屋台から始めて一流レストランを成功させた話がでてきて、彼がたまった財産の半分を紅卍会に寄付したことが大変な善行を積んだみたいに書いてあった。
これは、勤勉な世間的成功者に宗教教団が巨額寄付を募る話であって、本人の大悟覚醒とは、ほとんど何も関係ない。
そこで、槿花一朝の夢、黄梁一炊の夢、邯鄲の夢など、中国では高級官僚になって栄華を極めるが、最後没落して亡くなるいう似たモチーフの話がいくつかあることに気づく。この夢をきっかけに、彼らは道教修行に入って行くのだが、道教修行の目的は、恭喜発財などの財産形成や出世や安楽でリッチな生活や魂の伴侶との結婚ではない。
この世の苦悩と絶望、不条理、理不尽を超越しようとしているのであって、死後天国に再生しようとして、冥想修行しているわけではない。
宗教修行、冥想修行、瞑想修行、ヨーガ修行している人は、ほとんどの人は最初はこうした現世利益から入っていくが、それは本筋ではない。また本筋に入って行くには本人の成熟が必要ではある。成熟の兆しは、倦怠(アンニュイ)と憂鬱。
スピリチュアル周辺には、山医命卜相と言って、西洋占星術、四柱推命、紫微斗数、0学占い、手相、人相、タロット、ルノルマン、易、姓名判断、風水、九星気学、おみくじ、霊感占い、神下ろし(チャネリング)など多数の占いがあるが、それらは本来現世利益目的ではなかったはず。冥想修行で大悟覚醒・神人合一した結果、神通力・霊能力が発現し、それを利用して無辜の人を善導しようとしてこうした占いを用いるのが本来の姿だと思う。
つまり、悟っていない人による占いアドバイスは危険であり、悟っている人による占いアドバイスだけが厳密な意味で有効なのだと思う。
つまりは、世俗的価値観を捨てて無用の用を生きるということだが、それはまま周辺の人には理解されがたい。それでも無用の用に生きるのだ。それだけが、地上天国、至福千年、みろくの世を実現する道であり、人類生存率を上昇させる道だから。
よって日々、悪いことをしない、善いことをする。