先日、撮り溜めていたドラマの中から「阿修羅のごとく」を観ました。
ドラマは4姉妹の男性関係を巡って次第に阿修羅と化していくものですが、ドラマの内容はさて置き、このドラマのテーマ曲にトルコの軍楽「メフテルージェッディン・デデン(祖先も祖父も)」がありました。
この曲は皆さまもお聴きになったことがあるのではないかと思いますが、私の好きな曲だったので本日取り上げることにしました。
・阿修羅像です。
「トルコ」
まず、トルコは古代遺跡や博物館から、美味しい料理まで見どころがたくさんありますが、音楽もまた魅力の1つです。
日本ではクラッシックのトルコ行進曲や江利チエミのウスクダラ、庄野真代が歌う「飛んでイスタンブール」などの「トルコをモチーフにした曲」がヒットしました。
そしてトルコと言えば、嘗てオスマン帝国というイスラム王朝がありました。
オスマン帝国(1299年~1922年)は1299年ごろオスマン1世によって建てられた国で,東ヨーロッパ・西アジア・北アフリカを支配した大帝国で、強大な軍事力を持っていました。
なかでも先鋭部隊として重要な位置にいたのが、親衛歩兵軍団「イェニチェリ(Yeniçeri)」です。
スルタン(君主)の護衛や首都の警備をつとめ、さまざまな特権を有し、時には体制に影響を及ぼすこともあるほど有力なエリート集団でした。
そのイェニチェリが有していたのが「メフテル(メフテルハーネ)」で、きらびやかな衣装に身を包み、行進しながら演奏する軍楽隊です。
「トルコ軍楽メフテル」
メフテルは、トルコ系民族のルーツとされる中央アジアや、現在のトルコがある西アジアの伝統の音楽を元に、オスマン帝国にて独自に発展したものです。
戦争に同行し、演奏で敵を威嚇して、味方の士気を上げる役割を担っていました。
平時には、宮廷での儀式や祭礼の際にも用いられています。
メフテルの楽曲で有名なのは「ジェッディン・デデン」です。
行進の足並みに沿う、規則正しい4拍子系のリズムや、勇猛なメロディが特徴です。
「ジェッディン・デデン(Ceddin Deden)」
ジェッディン・デデン(祖先も祖父も)は、アリー・ルザ・ベイ(1881年-1934年)の作曲によるトルコの軍楽曲です。
オスマン帝国やトルコ共和国における伝統的な軍楽を一般にメフテルといい、オスマン帝国の常備軍(カプクル、イェニチェリ)において独自の発展を遂げた音楽の体系です。
オスマン軍は自軍の士気向上や威嚇のために軍楽隊(メフテルハーネ)を連れて戦争に赴き、平時にもメフテルを宮廷などの儀礼に用いていました。
モーツァルトやベートーヴェンの「トルコ行進曲」は、メフテルを意識して作曲された楽曲として知られています。
また18世紀前半には、西欧諸国も軍楽隊を持つようになりましたが、その起源はメフテルを真似たことに始まり、現在のブラスバンドの楽器の基本編成にもメフテルの影響が見られるということです。
ではお聴きください
「トルコ軍楽(メフテル)「ジェッディン・デデン Ceddin Deden 」(イスタンブール軍事博物館の演奏です。)