らいちゃんの家庭菜園日記

家庭菜園、家庭果樹栽培及び雑学日記

祇園祭の祭花「ヒオウギ」

2023-07-25 | 

我が家では、いま鉢植えのヒオウギが一輪咲いています。
以前はたくさんの株があったのですが、増え過ぎたという事で、家内が抜いてしまいました。
残した一株が咲かせた花が、今日取り上げている一輪です。

「ヒオウギ」
ヒオウギはアヤメ科アヤメ属の多年草で、日本では古くから親しまれ、栽培されてきました。
原産地は日本、中国、台湾、インド北部で、日本では本州、四国、九州、沖縄に分布しています。
京都では、いま祇園祭が行われていますが、この祭りの時期にはヒオウギが生けられたり、軒先などに飾られるそうです。

ヒオウギという植物はとても古くから日本の人々に愛でられ、万葉集にも登場しています。
しかし万葉集にはヒオウギという名前ではなく「射干玉(ぬばたま)」という名で詠まれています。
「射干玉(ぬばたま)」とは、ヒオウギの実のことで、その実は漆黒のつやつやとしていることから、「夜」「闇」「黒髪」などに掛かる枕詞として万葉歌人に詠まれています。



「ヒオウギ伝説」
ヒオウギには伝説があります。
太古の神代の時代、田作りを始めようとしていたある春の日に、田の神である「大地主神(おおなぬしのかみ)」が百姓たちに牛肉をふるまって食べさせました。
それを聞いた豊作をもたらす神である「御歳神(みとしのかみ)」は、怒ってイナゴを田んぼに放ちました。
苗葉はイナゴに喰われてたちまち枯れてしまい、篠竹のように弱弱しくやせ細ってしまいました。

占いで、その原因が御歳神の祟りであるという事を知った大地主神は、「白猪(しろい)・白馬・白鶏を献上して怒りを鎮めよ」という宣託を受けます。
宣託の教え通りの品を献上し、御歳神に謝罪すると、御歳神の怒りは収まり、「烏扇(檜扇)で扇いでイナゴを祓え」という宣託を受けました。
そして、その教えの通りにすると稲の葉は又いきいきと茂りはじめ、秋には豊作になったということです。

・これが扇子の檜扇です。(ネットより)


「檜扇」
「檜扇」は、宮廷装束の装身具で、檜でできた扇です。
豪華な絵付けが施されていたり、五色の色が通されていたりと華やかで、儀式や舞に使われました。
私たちに身近なところだと、お雛様が持っている扇が、女性用の檜扇です。
ヒオウギの花はこの檜扇に似ていることからその名で呼ばれるようになったという事です。

「祇園祭の祭花ヒオウギ」
先の伝説に登場するイナゴを祓ったのが檜扇です。
古代に、檜扇は悪霊退散に用いられたことから、怨霊の怒りを鎮めるために始められた祇園祭には特に“祭花”として檜扇が欠かせないものとされてきました。

平安時代の『古語拾遺』という、『日本書紀』や『古事記』などの神話(古語)に収められなかった話を拾い集めた(拾遺)という歴史書の中には、厄災が村を襲った際に、ヒノキでできた扇「檜扇」で扇ぐととたちまち村が元通りになったという話が残っています。
その檜扇と似ていることから同じ名前で呼ばれるようになったヒオウギは病気にかかりにくく、葉も長持ちするため、縁起物・魔除けの花として重宝されてきました。
その檜扇が、怨霊の怒りを鎮めるために始められた祇園祭と結びつき、7月の京都に欠かせないお花になったという事です。



祇園祭の”祭花”である檜扇。
いま全国的にコロナ感染がジワリ、ジワリと増加しつつあります。
第9波が来る前に、檜扇でコロナを祓いたいですね。