「あをによし 寧楽(なら)の京師(みやこ)は 咲く華の 薫(にほ)ふがごとく 今盛りなり 」 小野 老(万葉集巻3-328)
皆さまがよくご存じのこの和歌は、奈良時代の貴族であり、歌人である小野 老(おののおゆ)が詠った有名な和歌です。
そして、その意訳は
「すべてがすばらしい奈良の都は、花が咲き乱れて、よい香りが漂っている頃のように、今、真っ盛りで賑やかなことよ」
この様な意味になります。
この歌は、小野 老が大宰府(現福岡県太宰府)の地に大宰少弐として派遣されていた時、奈良の都を賞讃して詠んだとされる望郷歌とも、出張帰りの時に都を懐かしむ上司の大伴旅人たちに奈良の華やかな繁栄の様子を報告した歌などとも言われています。
・平城京跡に建つ歌碑です。
ところで、この和歌に歌われている「あをによし」の「青丹(あおに)」ですが、これは「なら」にかかる枕詞です。
でも、なぜ「あおに」が奈良の枕詞なのでしょうか?
今日は青丹(あおに)について調べました。
「青丹(あおに)」は岩緑青(いわろくしょう)の古名で、昔、平城(なら)の地の北側の丘陵地帯で良質なものが産出されていたことから生まれた語です。
「青」は現在の緑のことで、「丹」は土を意味し、緑みのある土の色を指しています。
顔料や化粧料の黛(まゆずみ:眉を書く墨)に使われた青粘土のような暗く鈍い黄緑色です
これが青丹(あおに)色です。
「あをによし」の「あをに」は「青丹」と表記され、奈良は良質の青土が取れることから「青丹よし」という褒め言葉として奈良にかかる枕詞が出来たと考えられているそうです。
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「青の色がよし」ではなかったのですね。もちろん、青鬼でもありません。
しかし、「丹」が気になります。
錬丹術などに見られる水銀は永遠の命や美容などで効果があると妄信されていた時代がありました。
古代の役行者は、「丹」つまり水銀の産地を牛耳っていたらしいです。「もののはじめ」を深堀りして知りました。
黛(まゆずみ:眉を書く墨)に使われたのもうなずけます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8C%AC%E4%B8%B9%E8%A1%93
天気は、気まぐれです。せっかくの楽しみを奪ったり好機嫌好であったりします。天下の富士山でさえ翻弄されます。