気の向くまま足の向くまま

できうるかぎり人のためになることを発信していきたいと思っています。

日常雑感と「スコットランド国立美術館 美の巨匠たち」

2022-07-05 11:00:13 | 

 

 

 

 ついに今年も夏がやってきた。例年、僕の最も苦手とする季節なのだが、今年はどういうわけか心地いい。それどころか幸せすら感じる。
それはたぶんこの強烈な光ではないかと思う。昔僕がイギリスで下宿していたころその女家主のわかれた旦那さんが、雨や曇りの多いイギリスの気候が嫌でメキシコに移り住んでしまったと話していたが、その旦那さんの気持ちはよくわかるような気がする。

 こんな僕でさえ、日常の中で子供のころのあの幸福に、短い時間ではあるがいつのまにかひたっていることが多い。光こそ命、とさえ思う。

 

 さて、近況だが 1週間ほど前愛犬を連れて湘南海岸を散歩してきた。ちょうど今海水浴シーズンであった事を忘れていて、海の家がたくさん設営されていた。もしかしたら犬の散歩は禁止かな、と心配したが、その時間は夕暮れ時で海水浴客たちはもういなかったので散歩も可能だった。
 日が落ち始めると遠くの方に富士山のシルエットが黒く見えたが、美しいというよりも少し恐怖を感じた。

 惜しむらくはあのあたりに犬を連れてコーヒーなどを飲める店がなかったことだ。探せばどこかにあるのかもしれないが、なにしろ車で行ったわけではないのでどうにもならなかった。

 
 僕の愛犬ももう老犬になったので、昔のように海に連れて行ってもはしゃいで走り回るようなことはしなくなった。ただただ僕のあとについてくるだけである。それでも普段は小さな家の中に閉じ込めていることが多いので気晴らしにはなったのではないか、と思っている。
 思えばよくついてきてくれたと思う。

 同居人として今の今まで大けがや病気をさせてこなかったことがなによりもよかったと思っている。
危ないことは何度かあった。この子が僕の足元にいるとき、段ボールの破片を落としてそれが目の近くに当たった時、電気毛布のコードを噛んで遊んでいて急に動かなくなったので見てみると噛んだまま感電して動かなくなっていた時、ベッドから落ちて立ち上がれなくなっていた時…心底凍り付きそうになった。

 
 でもとにもかくにも今まで無事でいてくれてありがたいと思う。
散歩していても、ほかの飼い主があの長い伸びるリードを長く伸ばして特に視界の悪い夜などに散歩をしていたり、自転車の前かごに犬を乗せて走っていたり、そもそもリードをつけずに散歩をしていたりしている人々を見るたびに、人の犬ではあるが本気で心配になる。ああいう飼い主はそもそも潜在的な危険というものに対する感覚、感受性などが僕とは違うのだろう。

 

 

 

 

 

 

 


 ちょうどその次の日だったろうか、東京都美術館で開かれている「スコットランド国立美術館 美の巨匠たち」という美術展を見てきた。
この美術館は確かイギリスのエジンバラという町にあるらしい。僕も実はもうずいぶん前だがエジンバラにはいったことがある。その時にこの美術館を訪れたことがあるかどうか…定かではない。

 ヨーロッパを旅行していた時は、新しい町についたときはまずとりあえず教会と美術館に行くことにしていたので、ここも行ったはずなのだが…記憶がない…

 さて肝心の作品だが、まず感心したのがルーベンスの「頭部習作」。

 

 

 

 

 

 例によって写真からだとやはりわかりにくいのだが、肌の色合いの繊細さ、再現力の高さにまず脱帽した。ちょうど絵を習っている人はこれなどを見るととても勉強になると思った。

 次に僕の気を引いたのはドガの「踊り子たちの一団」だった。

 

 

 

 

 

 なにに惹かれたかというと、踊り子たちの姿やポーズよりもむしろドレスや床や壁の色合い、描き方である。
確かにこの絵からはっきりと伝わってくるダンサーたちの躍動感、動き、バレエ独特の表現美なども重要な要素だ、しかし、それよりも床や壁、鏡の描かれ方から生じているこの絵全体に漂う幻想性、すこしデフォルメされたかに僕には見えるダンサーのドレスの線と色の独創性、絶妙な配合…そういったものの方に僕は惹かれた。特にダンサーの体やドレスの線を見て、僕は日本の水墨画家の筆致と相通じる
ものを感じた。

 

 以上がこの展示会での僕の印象だが、いま同時に国立西洋美術館で開催されている「ルードヴィッヒ美術館展」にも興味がある。間に合う間に行ってみたい。それと今「たぶん」話題になっている角川武蔵野ミュージアムで開かれている「僕には世界がこう見える」という美術展?にもすごく興味がある。ここではなんとゴッホの絵がホログラムのようなもので立体的に表現されていて、それがしかも動くのだという。
 ゴッホがこれを見たらどう思うか?とても興味がある。新しいものが好きだった彼のことだから、きっと大感激しただろう。

 このブログでも取り上げたことがあるが、ぼくはゴッホにとても思い入れがある。
画家としてはたぶんベストの画家ではないだろう…しかし、どの画家を一番愛しているか?と問われれば、僕は迷わずゴッホだと答える。
彼の人間性に惹かれる。混じりけのない純金、それゆえに実用性を欠き傷つきやすく摩耗しやすかった、しかしその輝きの強さ、純度は他を寄せ付けない。

 


 さて、話は変わって今度の日曜日は選挙である。候補者の話を全部聞いているわけではないが、今の日本の最大の課題はなんといっても人口減少だと思う。イーロン・マスクがこのままでは日本は消滅するだろうといって物議をかもしたが、彼はこれを比ゆ的な表現としていったのではないだろう、文字通りの意味で言ったに違いない。
 
 世界の他の国と比べて日本人の給料だけはこの何十年ずっと実質的に増えていないという、僕はこれもすべてではないにせよ、人口減少と根っこのところで関係があると思っている。
 これは大問題だ。日本の一番大きな問題である。でも、このことを選挙の争点にあげる候補者は僕の知る限りではいない。もちろん、この問題を突き詰めていけば日本人にとって一番向き合いたくない問題、そう、移民問題とぶち当たるからだろう。しかし、この問題から逃げることはできない、かならずいつかは正面から向き合わなければならない。

 なぜなら、これは日本の存亡と直接かかわってくるからだ。

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