こんな雑誌があるの知りませんでした。
自分はたまたま、
村上春樹さんと小澤征爾さんとの対談本が小林秀雄賞を受賞して、
その記事が掲載されている、ってことで買ったのですが、
この雑誌、期待以上におもしろかった!
一つのテーマに沿った、
とにかくいろんな分野で活躍されている方のインタビューやエッセイが、
なんともうまい具合に、オトナの知的好奇心をくすぐって、一つ一つホントに興味深い。
これは、「歩く~時速4㎞の歩行」
というテーマのバックナンバーだったのですが、
「沢木耕太郎×角幡唯介対談『歩き、読み、書く ノンフィクションの地平』」
梨木香歩インタビュー「まだ、そこまで行ったことのない場所へ」
関川夏央「明治十一年、イザベラ・ルーシー・バード、東北への旅」
安田登「日本の神々はよく歩く」
斎藤潤「島の道をつぶさに辿る」
藤波源信インタビュー「毎日叡山一周千日回峰行」
湯川豊「移動が見つけだしたもの--池澤夏樹を読む」
海部陽介「人類が歩いてきた道」
小林朋道「若い女性はなぜ歩くテンポが速いのか?」
養老孟司「ヨーロッパの身体性」
と、タイトルをちょっと見ただけでもそそられませんか??
以下、新潮社の本紹介のページに、創刊にあたっての編集長コメントが掲載されていましたのでご参考まで。
「創刊にあたって」
(新潮社HPより)
産業革命後に急速な都市化が進むロンドンで、イギリスの詩人ワーズワースは plain living, high thinking(=シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)という言葉を書き遺しました。
工業化と都市化の急速な進展のなかで、イギリス人が本来持っていたはずの plain living, high thinking を人々が失いつつあるのではないか、とワーズワースは感じ、嘆いたのです。
ちょうどその頃、ロンドンに留学していた夏目漱石も、イギリス人が環境汚染に悩まされ、都市生活がもたらす不安とストレスにさらされる様子を見て、そこに日本人の未来像を予感していました。
私たちの暮らしも生き方も、産業革命後の世界の上に成り立っています。さらに、IT革命という新しい大きな変革の波の上に私たちは浮遊しています。漱石の予感を上回る変化のなかで、私たちは生きているのです。
暮らしにはモノも情報も溢れている。私たちが日々のなかで「考えている」のは、ほんとうに自分が考えたことなのか、疑い始めるとなんだか怪しくなってくることもあります。溢れる情報の何を選択し、何を捨てるのか。暮らしに大切なこと、不要なモノをどう判断すればいいのか。大きな変革の波は、私たちの生活に、頭のなかに、じわじわとしみこみ始めています。その大きな波のなかで自分の船をどのように漕ぎ出せばいいのか、途方に暮れることも少なくありません。
ものの考え方と暮らしはウラとオモテのようなもの。暮らしぶり、生き方と無縁の「ものの考え方」はないはずですし、「ものの考え方」はその人の日常から切り離すことはできないはずです。plain living があってこその high thinking であり、high thinking あってこその plain living なのです。
私たちは今ふたたび、ワーズワースの言葉を頼りにして、自分の頭で考える力を問い、シンプルな暮らしを考えるべき時間と場所へたどり着いたのかもしれません。
たまにはテレビを消して、身の回りも整理して、一人の「わたし」に戻り、自分の言葉と生活を取り戻したい。溢れるモノや情報をいったんせき止めて、ひと息つきたい。思考する頭に新鮮な空気を送り込みたい。そんなあなたのために用意する、小ぶりの静かな部屋に季刊誌「考える人」はなりたい、と考えています。
創刊編集長 松家仁之
さすが編集長、うまいこというよね~
新潮社【年間購読】考える人