ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

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木田元・計見一雄『精神の哲学・肉体の哲学-形而上学的思考から自然的思考へ』2010・講談社

2024年11月29日 | 随筆を読む

 2015年のブログです

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 じーじが大好きで尊敬をしている哲学者・木田元さんの対談本『精神の哲学・肉体の哲学-形而上学的思考から自然的思考へ』(2010・講談社)』を読みました。

 木田さんはハイデガーさんを研究しながら,その著『存在と時間』の未完さを指摘し,従来のいわゆる西洋哲学全般の限界にも論及をして,「反哲学」を唱えた人。

 ギリシャ哲学からデカルトさんに至る西洋哲学をもっと広い視野から捉えなおした哲学者といえると思います。

 そして,本書でも紹介をしているニーチェさんやメルロ・ポンティさんなどの西洋哲学を超えようとした哲学者の考えを「肉体」の哲学として捉え,本書の中で紹介し,その本質に迫っていると思います(これで間違っていないと思うのですが…)。

 これは従来の心身二元論の限界から新しい総体的,総合的な一元論への見直しということになるのかもしれません(何を根源とするのかは議論がありそうですが…)。

 とにかく,これまでの哲学をいくつもの新しい視点から捉えなおしていて,とても知的刺激にあふれた内容になっています。

 また,対談者の計見さんも精神医学の立場から鋭い視点を提供していて,小気味よい本です。

 とはいえ,素人哲学ファンの悲しさ,読み込み不足は明らかで,これからも何回も読み込んで,考え,勉強をしていく必要がありそうです。       (2015.5 記)

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 2021年2月の追記です

 ここのところ、木田さんの哲学の本が気になっていて、年末からずっと読んできました。

 1冊くらいは感想文を書きたいと思っていたのですが、やはり理解不足らしく、なかなか書けずに本書にいたりました。

 6年ぶりの再読です。

 本書も、前のブログに書いた概要を超える感想は書けませんが、やはり大切なことが述べられているらしいということはわかる気がします。

 木田さんは、ご存じのかたもいらっしゃるかもしれませんが、海軍兵学校の時に間近で原子爆弾を体験、その後、「闇屋」になりそこねて(?)、ハイデガーさんを読みたくて東北大哲学科に入ったというかた。

 その経歴と同様、気さくで率直なかたで、専門書はともかく、エッセーなどは気軽に楽しく読めます。

 いずれご紹介できればな、と思っていますが、もう少し学びを深める必要がありそうです。         (2021.2 記)

 

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池永陽『コンビニ・ララバイ』2005・集英社文庫-「赦し」と「救い」を問う

2024年11月29日 | 小説を読む

 2018年のブログです

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 池永陽さんの『コンビニ・ララバイ』(2005・集英社文庫)を読みました。

 いい小説です。

 おとなの小説です。

 実は読んでいる途中で、前に一度読んだことがあるような気がしてきて、既視感も確かに感じたりもしたのですが、しかし、あいかわらず記憶があいまいで(!)、もっとも、このすばらしいラストは本当に新鮮に読めましたので、やはり初めてなのかな、と思ったりしました。

 まあ、大切なことは、1回目か、2回目か、という事実はどうであれ(?)、いずれにせよ、今の64歳のじーじにとって、初めての(あるいは、初めてと同様の)いい小説に出会てよかった、ということが真実だということでいいのではないか、と思っていますが、どうなのでしょうか。

 事実と真実の問題というのは臨床心理学的にも大きな問題だと思うのですが、これを機にじーじもこの問題にチャレンジしていこう(?)と思っています。

 さて、例によって、あらすじはあえて書きません。

 池永ワールドを堪能したい人は本書を購入して、じっくり味わってくださいね。

 ただし、性的な場面も少し出てきますので(なんせ、おとなの小説ですからしかたありません)、20歳未満の人は遠慮してもらったほうがいいかもしれません。 

 さらには、内容や伝えたいことがらがおとなの世界のことなので、精神年齢が20歳、あるいは、30歳、ひょっとすると、40歳以上でないと、しっかりとは理解できない小説かもしれません。

 個人的には、主人公が亡くなった奥さんの言葉に救われる場面がいいなあと思ったのですが、人が精神的に救われるということも臨床心理学的に、さらには、宗教的にも、相当に大きな、難しい問題だろうと思います。

 このあたりは、50歳、60歳になっても、理解できたとはいえませんし、永遠の課題なのでしょう。

 池永ワールドに浸りながら、ゆるりゆるりと考えたいと思います。

 なお、北上次郎さんの解説によれば、本書は「本の雑誌」が選ぶ2002年上半期ベスト1に選ばれたということで、本当に秀作だと思います。        (2018.11 記)

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 2024年11月の追記です

 6年前の文章です。

 若気の至りで、なんか挑戦的な雰囲気が漂っていて(?)、今、読んでいて、少し恥ずかしくなりました。

 問題意識は今も変わりません。

 回答は当然、出ていません。

 わからないことに耐えることが大切ですからね(?)。

 わからないことに耐えることは長生きの秘訣かもしれません。        (2024.11 記)

 

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