2019年5月のブログです
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山中康裕さんの『親子関係と子どものつまずき-子どもと教育を考える22』(1985・岩波書店)を再読しました。
この本もかなり久しぶりで、本棚の隅のほうに隠れていた(?)のを見つけ出して、読んでみました。
全然古くありません。
まだ大家になる前の山中さんの若々しい姿が、そこにあって、新鮮な感じで読めてよかったです。
自閉症の子どもさんなどのケースをていねいに提示して、ケースの理解と治療の様子をかなり詳しく述べておられるので、とても参考になります。
山中さんは理屈抜きに、自分に正直に子どもさんやお母さんと向き合っており、やはりその情熱と熱意がすごいなと思います。
例によって、今回、印象に残ったことを一つ、二つ。
一つめは、子どもの出生について。
世間では、子どもをつくる、つくらない、産む、産まない、などといいます。
しかし、山中さんは、子どもは授かるものであって、コントロールできるようなものではなく、さらに、いろんな赤ちゃんがいて当然、というスタンスを強調されています。
確かに、子どもをつくる、つくらない、産む、産まない、という視点からは、親の都合に合わない子どもは排除するという姿勢が見えて、少し怖い感じがするのは、じーじだけでしょうか。
このコントロール万能主義が子どもの精神的な病いに繋がる可能性を山中さんは危惧されます。
二つめは、自閉症の場合、いろいろな要因がありますが、治療的には子どもの心理的な育て直しの視点が大切ということ。
親の側のいろいろな要因で、子どもを十分にケアできなかったところや子どもの生来の障碍の部分をケアしていくという視点から、さまざまな働きかけがなされるようです。
ここには、親の責任を問うような視点は全くなく、親への援助を通して、子どもの心理的援助を促していくという子どもの臨床家の姿勢が強調されます。
いないいないばあの大切さや兄弟喧嘩の大切さなど、よく知られているサインのプラスの評価が含まれます。
三つめは、特にじーじが反省させられたのですが、親や子どもの攻撃的な感情の受けとめの大切さ。
攻撃的な感情を受けとめるのはなかなか難しく、つらいものがありますが、これをきちんとできないと、子どもも親も次の段階には進めないということ。
じーじなどはつい攻撃的な感情からは逃げがちですが、きちんと見通しを持って、受けとめていくことの大切さを教えられたように思います。
まだまだ力不足なことを痛感させられました。
さらに勉強をしていこうと思います。 (2019.5 記)