ヨシムラ・サイエンス・ラボ

身近な物を材料視点で解説「サイエンスライター」
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ワインと金属(第一回)

2012年10月14日 | サイエンス
伝統工芸と身近なものを材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

ボジョレーヌーボの解禁である来月の第三木曜日(11月15日)も間近ですので、伝統工芸からちょっと離れて、ワインと金属について全3回でご紹介したいと思います。

一回目の今日は、ワインと超伝導についてです。
特定の金属を赤ワインや白ワインでグツグツと煮ると「超伝導」と呼ばれる電気抵抗がゼロになる物質が出来上がるという現象が見出されたそうです(2012年10月7日 日本経済新聞より)。

小学校の理科の実験で、乾電池と豆電球を使って、身近なモノ、例えば釘やスプーン、お茶碗などを使って電気の流れやすさを調べた記憶はありますよね。
これは、物質の種類によって電気の流れやすさ(電気抵抗)が異なることが原因です。
世の中のモノは大なり小なり電気抵抗の違いはありますが、この電気抵抗が全くのゼロになる物質もあります。
これを「超伝導物質」と呼びます。
この超伝導物質は、病院で体内を透かして見るMRI(核磁気共鳴画像)にも応用されています。

このような「超伝導物質」が、赤ワインや白ワインでグツグツと煮ると出来上がってしまうというのです。
その物質は、鉄とテルルという元素を混ぜ合わせたもので、物質中に含まれれる余分な鉄が溶けだしてワインに含まれるリンゴ酸とくっ付くことによって超伝導物質に生まれ変わるそうです。

なんだか不思議ですね。

次回は、浸せばたちまちワインが熟成してしまう不思議な金属についてです。
おたのしみに。