伝統工芸と身近な物を材料科学するヨシムラ・サイエンス・ラボです。
前回に引き続いて、金属工芸技術の1つである「鍛金」についてです。
自由の女神が、金属板を金づちで打ち延ばして形造られたことをご紹介しました。
この製法を「鍛金(たんきん)」と呼び、鋳型に溶けた金属を流して形造る「鋳金(ちゅうきん)」、鋳金や鍛金で作らたものに対して地彫刻や象嵌する「彫金(ちょうきん)」と合わせて、金属工芸の主要な3つの技法と位置付けられています。
最近、本業で東京出張が多いのですが、富山に帰るために夕方に東京駅の新幹線ホームで北陸新幹線を待っていると、緑色ボデーの東北新幹線や赤色ボディーの秋田新幹線を見かけます。
いずれの新幹線も、その先頭車両は流線形の形で、いわゆる「鼻が長い形」になっています。
これは、高速走行時の空気抵抗を考慮した形状と思われますが、その形状を形作っているのは、1つ1つを金づちで打ち出す、上述の金属工芸技法の「鍛金」によって作り出されているようです。
伝統的な工芸技術が用いられた新幹線! 響きがいいですね。
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