ダグ・ジョンストン『ダークマター』
生まれてから亡くなった時までの戸籍謄本を辿り、ほかに遺産相続人がいないか調べる。
つまり、隠し子の存在を明らかにするのだが、その作業はとても面倒なので、行政書士に依頼した。
後日、取り寄せてもらった戸籍謄本に、会ったことのない兄弟はいなかったが、親の意外な事実を知った。
本人は隠しているつもりはなかっただろうが、亡くなってから知ると秘密にしていたかのように映る。
人が亡くなると、思わぬ秘密が明らかになる。
葬儀社を経営していたジムが亡くなり、妻のドロシーは、会社のお金が毎月知らない女性に振り込まれていることを知る。
愛人か隠し子か?
調べると、元従業員の妻で、保険金と称して渡されていたのだが、その元従業員は行方不明。
これだけでも十分面白い謎なのに、ジムは探偵業も兼業していたものだから、依頼されていた案件を娘と引き継ぎ、さらに孫娘のルームメイトが失踪、事件が増えていく。
葬儀社の仕事をこなしながら、素人探偵3人は事件を地道に調べていく。ときに義憤に駆られ暴走しながら。
舞台になっているエディンバラの地図がついているので、眺めながら街の空気を感じつつ読む。
やや重めのトーンに満ちた小説だというのは、カバーのイラストを見ればわかったはず。ぼくは好きだ。
装画は3rdeye、装丁は鈴木成一デザイン室。(2023)