ロビンソン本を読む

本とデザイン。読んだ本、読んでいない本、素敵なデザインの本。

おれの眼を撃った男は死んだ

2020-10-31 11:56:41 | 読書
 シャネル・ベンツ『おれの眼を撃った男は死んだ』






 なんという色合いのカバーだろう。

 黄色の背景にピンクのイラスト、赤い英語のタイトル文字。その英語をまたいで日本語タイトルが黒で入っている。

 眺めていると落ち着かない。

 不快ではない。

 ただ言いようのない不安な気持ちになる。

 帯を外してもイラストが何なのかわからない。黄色い見返しをめくり、扉を見てやっとわかる。わかった気がする。でも違う気もする。

 
 10編の短編集。

 一度読み通し、本を閉じた。ひとつひとつを思い返してみる。

 スポーツカーで疾走してきたのに、思い出されるのは道端に咲いていた小さな花。そんな気分だ。

 読んだ物語と、頭の中に残っているものが違う気がするのだ。

 もう一度本を開く。

 今度はゆっくりと歩くように読んでみる。道端に咲いている花には小さな棘があり、指先をチクリと刺される。

 ダイナミックで繊細。ぼくは何か読み落としていないだろうか。

 不安な気持ちが消えない。


 装丁は山田英春氏。(2020)



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