ルー・バーニー『7月のダークライド』
どうしてこうなってしまったのか。
時間を巻き戻すことができるなら、あの時からやり直したい。
そんな気持ちになることがある。
でも実際に巻き戻せたとしても、ぼく自身の性格は変わらないので、また同じことを繰り返すかもしれない。
ハーディーはどう思うのだろう。
あそこから、もう一度やり直したいと思うのか。それとも自分の行動に誇りを持って、この選択した人生を受け入れるのか。
長髪にサーフパンツ、ときどきマリファナをキメる、最低賃金で働く青年。
他人のことなど気にかけない男が、市役所で幼い子ども2人が大人しくベンチに座っている姿を見かけることから物語は始まる。
極端に痩せた2人。親の姿はなく、違和感を覚えたハーディーは話しかけるが反応がない。
シャツの襟元から見えた煙草の火傷跡。急足で現れた母親が子どもたちを急き立て連れて行く。
虐待? どうする?
ハーディーは児童保護サービスに連絡をする。ところが親身になって動いてくれる人はいない。
どうする?
ハーディーは決して正義感に燃えているわけではないし、抜群の行動力があるわけでもない。ところが、ちょっとした奇跡ともいえる人の好意が、ハーディーを助けていく。
予想外のことが起こりながらも、きっと最後は解決するのだろうと希望を持つのだが。
舞台はアメリカなのだ。
装丁はalbireo+nimayuma。(2024)
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