つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

津幡町に咲く「愛の花」。

2012年06月12日 22時59分44秒 | 草花
梅雨に入り夏が近づき暑くなってくると、気になるのは「不快指数」。
不快指数とは、簡単に言うと人間が感じる「蒸し暑さ」を数字で表したもの。
この「蒸し暑さ」…気温の高い低いだけでは決まらない。
たとえば同じ気温でも、湿度の高さによって感じ方はかなり違う。
その湿度と気温を合わせて表したのが不快指数である。
ちなみに今日、石川県・加賀のそれは「73」。
一部の人が不快に感じるレベルらしい。
僕は、一部に含まれる。
…暑がりにとっては、何かと過ごしにくい季節なのだ。

ムシムシジメジメのレイニーシーズン。
これから屋外で盛りを迎えているのが「今日の一枚」…
瑞々しい花を咲かせる「紫陽花」である。

降り続く雨の中で佇む紫陽花は、清楚なイメージ。
いくら初夏とはいっても、雨に打たれて濡れれば、
人間なら身体の芯まで冷え切ってしまう。 
しかし、紫陽花は、ただ一途に咲いている。
何だか心を打たれる。

そんな紫陽花の美しさを描いた作家といえば、金沢の三文豪の1人「泉鏡花」。
ペンネームに「花」の字を使い、作品名にも、しばしば花の名を用いたように、
生涯、花を愛した作家だった。
特に紫陽花への思い入れは深く、影のある女性の美しさと重ね合わせ、
紫陽花をモチーフにした短編小説も残している。
また紫陽花をモチーフに詠んだ、こんな歌もある。

『花二つ 紫陽花青き 月夜かな』

紫陽花は日本原産の花。 
万葉集の頃から詩人のモチーフになってきた。
もう1つ、「正岡子規」が詠んだ歌もなかなかいい。

『紫陽花や 赤に化けたる 雨上がり』

紫陽花が、花の開く過程で色が変化するのは有名な話。
つぼみの時は緑色。 
それがやがて白くなり、青紫に変わりながら咲き始め、
紅紫、ピンクや赤へと妖艶に姿を変えてゆく。
人は、それを見て『移り気』という花言葉も与えた。

明治以前、紫陽花は、移り気、心変わり、
裏切りの象徴として嫌われていた時代もあったそうだが、
これは、土壌のPh濃度によるもの。
酸性が高いと青色が強く、低いところでは赤紫が濃くなる。
昔、理科の実験で使った「リトマス試験紙」とは逆。

とにかく花が色を変えるのは、自然の摂理。
それを浮気者のように言われるのは、紫陽花にとっては心外かもしれない。
梅雨の長雨に耐える姿は、
もう1つの花言葉…『辛抱強い愛情』がピッタリではないだろうか。
コメント
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