雨の季節である。
現在(2020年7月4日)、列島上空には梅雨前線が留まり、
各地--- 特に鹿児島・熊本では大雨に。
大事なく過ぎる事を祈っている。

さて、雨の合間の散歩では「蒲(がま)」の姿が目立つようになった。
川、池、湿地など水辺に群生するガマ科の多年草。
ちょうど今頃、直立した茎に雌花が集まった茶色い円筒状の花穂をつける。
(※画像、赤矢印)
その上部、少し淡く、縦長の塊が雄花。
(※画像、黄矢印)
まだ花穂は固い。
やがて、雌花が真白な綿毛となり飛散する頃、夏も終わりを告げる。
この「蒲」、日本人の生活に深く係わってきた。
例えば、鰻などで知られる調理法「蒲焼(かばやき)」。
身を開いて焼くのは江戸時代から。
それ以前は鰻を丸のままぶつ切りにして、串に刺して焼いた。
蒲穂に似ていたため「がま焼き」と呼ばれ、「かば焼き」に転じた。
「蒲鉾(かまぼこ)」。
魚のすり身を固めた食材の初期は、芯にすり身を付けた竹輪のような形状。
やはり蒲穂に重なり、鉾のようなシルエットから「がまのほこ」、
変じて「かまぼこ」となる。
「座蒲団(ざぶとん)/蒲団(ふとん)」。
蒲の葉は筵(むしろ)の材料の一つ。
蒲の葉を編んで作った丸い敷物が座蒲団。
コットンが普及する以前、蒲穂の綿毛を使った寝具があったという説も聞く。
更に、蒲の花粉は漢方の生薬。
切り傷、火傷、利尿などに薬効ありとされた。
神話「因幡の白兎」では、大国主命(おおくにぬしのみこと)が、
毛をむしりとられた兎へ、蒲の穂に包まり止血するようアドバイスした。
随分、古くから用いられてきた事が窺える。
--- などと、ひとしきり蒲について思案をし、写真を撮り終え顔を上げると---

白兎ならぬ、白い夏服のJKが走り過ぎて行った。