つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

再会、嘆きの天使。

2020年07月18日 08時59分33秒 | 日記
津幡町・横浜の寺院「普念寺」。
その裏手、住宅街の一角には、小さな沼地がある。
散歩の折、度々そこを通るのは「天使」に会うのが目的だった。

蒲や蓮、カキツバタに囲まれ、膝を抱えてうずくまる様子から、
勝手に「嘆きの天使」と名付けていた。
時に神々しく映るのは、やはり「神の御使い」--- 神と人の仲介を行う使者だからだろうか。

有翼の姿の起源は、古代メソポタミアやエジプト。
ユダヤの伝承を経て、キリスト教に取り入れられた。
天使は1つではない。
上級・中級・下級の3つに大別され、それぞれ更に3段階に区別されている。
前掲画像のモチーフは、どのヒエラルキーに属するものか分からないが、
気に入って、何度も眺めに足を運んだ。

ところが。
ある頃を境に、いなくなってしまった。

台座を遺して、忽然と消えた天使。
まさか、飛び立って行ってしまったわけではないだろうが、
散歩の楽しみが1つ減り、少々落胆した。

まさか、舞い戻っていたりしないだろうかと先日も訪れてみたが、いない。
小さく溜息を突き、踵を返した刹那、
「鈴(りん)」の音が聞こえた気がした。

冒頭に書いた通り、近くにお寺はある。
しかし音がする方角は、背後の小路。
「リーン」
今度はハッキリと聞こえた。
導かれるように、ゆっくりと進む。
--- すると、茂みの奥に、いた。

思わず「あっ!」と声を上げてしまった。
何んらかの理由で、ここに移設されていたのだ。
沼地の中という絵になるシチュエーションは失われたが、お陰で距離が近くなった。

曇天の下、久しぶりに再会した「嘆きの天使」。
感激して観賞する事しばし。
気が付くと「鈴」の音は止んでいた。
コメント
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