世界は様々な色に溢れていて、沢山の楽しみを与えてくれる。
しかし、目に映る彩(いろどり)を無くすと「想い描く色」が豊かになる。
階調の数が減る事で奥行きが生まれ、違う何かが見える気がする。
散歩中や旅先で撮影した画像を白黒に加工し、思考の旅に出かける試み。
不定期連載「monotone Journey」第六篇。

農道脇、打ち捨てられたリヤカー。
コイツはどのくらい風雪に耐えてきたのだろうか。
僕が町内散歩を始めた11年前からずっと、同じ場所に横たわったまま。
次第に、朽ちてゆき、錆びてゆくだろう。
傍に足を止め、暫しじっと観察してみる。
コイツが、現役だった頃を想像してみた。

数年前に醸造を止めてしまったしまった「舟田商店」。
およそ200年も続いた老舗だった。
僕は、ここの「マルフネ味噌」のファンだった。
立派な元店舗の前を通るたび、寂しい気持ちになる。
もう、実際にいただく機会はないかもしれないが、
少なくとも僕が生きている間は、あの味、あの香りの記憶はなくならない。