つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

偶像と彫像。~ プリンプリン物語。

2020年07月11日 03時45分58秒 | 手すさびにて候。

僕がまだ子供だった頃、
楽しみにしていたTV番組の一つが、NHKの「連続人形劇」だ。
昭和28年(1953年)から、平成27年(2015年)まで続いたシリーズの中で、
僕の記憶に残るのは70年代の6作品。
「新八犬伝」「真田十勇士」「笛吹童子」「紅孔雀」、
そして「プリンプリン物語」である。

ほんの手すさび手慰み。
不定期イラスト連載、第百四十六弾はNHK人形劇「プリンプリン物語」、
主人公「プリンセス・プリンプリン」と、その声を演じた「石川ひとみ」。

「プリンプリン物語」は、それまでとは趣が違った。

前述の「新八犬伝」「真田十勇士」「笛吹童子」「紅孔雀」は日本を舞台にした時代劇。
またメインキャストが男性だった。
対して「プリンプリン物語」の主人公は15歳の少女。
彼女が、見知らぬ自分の祖国と両親を探して、仲間たちと諸国を旅する構成。
登場する地名は架空で、無国籍ロードムービー風ながら、
現実世界の時事ネタを取り込む自由奔放なバラエティ感。
色々な意味で「新しかった」。

また、やたら歌唱シーンが多いミュージカル仕立てなのは、
主人公の声をあてたアイドルの存在と無縁ではないと思う。
彼女---「石川ひとみ」の伸びやかで透明感のある声は、役柄にぴったり。
オープニング曲や劇中歌でも、その魅力を存分に発揮した。

やがて、人形ではなく、人間「石川ひとみ」をテレビで見る機会が多くなる。
1981年に出したシングル「まちぶせ」がヒットしたのだ。

歌は、哀し気なマイナーから幕を開ける。
『偶然を装い帰り道で待ち伏せし、思い人を振り向かせてみせる』
--- そう宣言する様は、ある意味“女の恨み節”。
しかし、15歳を演じて違和感のない声が奏でると、可愛らしく聞こえた。

人形劇とステージ。
同時進行で2つの異なる世界を股にかけ活躍する同じ声は、
時折、僕を混乱させた。
木彫りの乙女と、血の通った偶像。
果たして、どちらが本物なのだろうか?--- と。
コメント
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