つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

昭和の教室に渦巻く思惑。

2016年11月12日 16時09分08秒 | これは昭和と言えるだろう。
先の土曜の朝、ランドセルを背負った小学生とすれ違った。

普段なら休みのはずだが、黄色い帽子が次々と校舎へ吸い込まれて行く。

授業参観だろうと見当をつけ、彼らを誘導する女性に質問してみたのだが、
返答のニュアンスは少々違う。
どうやら、最近は「学校公開」と呼ぶらしい。
しかも、特定の授業が対象になるのではなく、
およそ1週間に亘って、自由に観覧できるのだという。
これも、就業の曜日や時間帯が多様化した配慮なのだろう。
また、男女の別なく散見する保護者のファッションは、
フォーマルありカジュアルありと自由な雰囲気で、皆一様に洗練された印象。
…という事は、昭和のお馴染みの風景は、過去のものになったのだろうか?

僕が子供の頃の授業参観の参加者は、母親ばかり。
おめかしヘアは「ハードパーマ」が基本。
着物姿、ワンピースなど、いわゆる余所行きのいで立ちである。
授業開始数分前にドアを潜るや否や、まずは社交辞令の応酬。
「こないだは、ウチの子がお世話になってぇ~スンマセ~ン。
 なんか、キッカンこと言っとらんかった?!」

(※意訳:先日は私の子供が世話になってありがとう。
      何か失礼な言動をしていませんでしたか?!)

「な~ん、なんも、なんも!おっとなし~子でビックリしたわいね。
 ほれにぃ、男の子やし、ちょっとキカンくらいでいいわいね。」

(※意訳:まったく心配ありませんよ。とても良い子ですね。
      たとえ、少々度が過ぎたとしても気にしないで。
      男の子は元気すぎるくらいでちょうどいいものです。)

そんな喧しいやり取りを横目で見ながら、子供達もひそひそ話。
「お前のか~ちゃん、シャッキシャキやな!ほれにお前にソックリやがいや!」
「お前、センセーに当てられたらどうすれんて!」
「ダラッ!縁起でもねー事ゆーなま!」

※意訳:念入りにお化粧した君のお母さん、やっぱり親子だね、よく似ているよ。
      ところで、衆人環視の中、先生に指名されたら緊張するよね?
      こいつぅ、煽るような事を言うなよ。)


やがて、先生の登壇で静まり返る空間。
我が子の一挙手一投足を見守る母の目は、獲物を狙う猛禽類のそれ。
下手を打って恥をかかせたら承知しないぞというプレッシャーが滲み出ていた。
白粉やヘアスプレーの香りが充満しむせ返る教室内は、一種の戦場だった。
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津幡短信vol.24

2016年11月06日 14時34分58秒 | 津幡短信。
自分の目で見た、津幡町に関するごく短いニュースの不定期通信。
今回は2本。まずコチラ。 

【ロシ、拡大オープン。】

能登半島・羽咋市の会社が経営するクリーニング店「ロシ」。
同社の直営店は、石川県内に23。
委託店は12。なかなか手広く商いを営んでいる。
わが津幡町には2店舗があるが、その1つ「ロシ北中条店」の隣に、
「コインラドリー ロシ」がオープンした。
おそらく、経営会社としては新業態だろう。

ところで「ロシ」って何だろう?
あのキャラクターは何だろう?
牛?
でロシ?
気になる。
関係者の方、もしもご覧になっていたら教えてください。

【菊花クロニクル。】

散歩中、旧道沿いの民家の軒先や寺社の前などで、
立派な菊を見かける事が多くなった。

秋は、各地で、菊の愛好家が腕を競うコンテストが行われる。
手塩にかけて育てた花をご近所にお披露目しているのだろう。

古来、中国では菊は不老長寿の妙薬として珍重され、
旧暦9月10日(新暦は10月10日)の「重陽の節句」には、
菊の花を浸した酒を飲み交わし長寿を祝った。
これにならい、平安時代の宮中では菊酒を傾け
菊を題材に和歌を詠み、菊の品評会を開催。
やがて、江戸時代前期には、行事・慣習が庶民へと広まった。

一時は、大変な菊ブームだったとか。
植木職人は盛んに品種改良を行い、花壇への寄せ植えを工夫。
一本の台木に百種類の菊をつなぎ、同時に花を咲かせるという、
まさに百花繚乱の細工物が人気を集めたそうな。
一目見たいと、江戸っ子たちが黒山の人だかり。
周囲には、野次馬目当てにスナックやスイーツ、土産物を売る屋台が出た。
さぞ賑わい、注目を集めた事だろう。

北陸の片田舎で、ひっそりと美しく咲く菊を愛でつつ、
300年前の菊花狂騒を思い浮かべるのも、また楽しい。

<津幡短信vol.24>
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賭けたり、競ったり、旅したり。~2016秋・琵琶湖。

2016年11月05日 15時38分33秒 | 賭けたり競ったり
僕が暮らす津幡町には、石川県で一番大きな水辺…「河北潟(かほくがた)」がある。
昭和38年(1963年)に始まった国の干拓事業以前は、
東西4km、南北8km、面積は23平方キロメートル。
日本国内の湖沼で20番目の規模を誇っていた。
しかし、およそ5分の一に縮小した現在のランキングは50位程度。
「河北潟」は、僅か半世紀の間に大きな変化を被った訳だが、
昔も今もチャンピオンの座を譲らない絶対王者は、ご存知「琵琶湖」。
…そのマザーレイク(母なる湖)を利用した競艇場が「ボートレースびわこ」である。

近くにこんなお店があるのもお土地柄。

焼肉・ホルモンと肩を並べて「鯉」の文字が躍るのは、
伝統的に淡水魚を食してきた琵琶湖ならではの文化だろうか。
…などと思いを巡らせつつ場内へ。

メインスタンドからは「近江富士」や「琵琶湖大橋」。
「近江大橋」「浜大津」などが視界に入り、大変眺めがよろしい。
また、競争水面の外は、穏やかで賑やか。
画像に映りこんだ「ミシガン」をはじめ、
観光船や釣り舟、ヨット、季節が夏なら水上バイクなどが行き交っている。

そんな「琵琶湖競艇場」には、幾つかの特徴がある。
@淡水で水が硬いため、舟が跳ねやすい。
@標高86メートル地点で気圧が低いため、エンジン出力が低い。
@1マーク(最初の旋回地点)の水面スペースが狭く、内側の旋回は難しい。
こうした要素が影響し、最も有利とされるインコースが、他場と比べて弱い。
次の画像で分かるだろうか?

舟同士が接近していて、いかにも窮屈そう。
競争水面の端、手前の消波装置とターンマークとの距離が近く、
イン艇は小回り旋回になりやすい。



さて、この日は一般戦の最終日だった。
(※作中:一般戦とは最もランクが下で、最も多く開催される艇界の基本レース)
千秋楽結びの一番は優勝戦。
結果、エースモーター65号機を駆る「北川潤二」選手が、
5コースから展開を突き、見事に差し切った。
通算2度目のV! おめでとう!
個人的に舟券は外したが、拍手を送り勝利者インタビューに耳を傾けた。

…さぁ、この日、日本財団に預けたマネーを引き出すのは明日だ!
同じ場のオールレディース「プリンセスカーニバル」初日を狙う!
琵琶湖で作った借りは、琵琶湖で返してもらおう!
我に閃きと幸運が在らんことを!

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滑稽との遭遇。

2016年11月05日 06時49分19秒 | 旅行
僕が暮らす場所は「津幡町」だ。
「つはた」ではなく「つばた」と読む。
同じ「幡」の字を使っていても「は」「わ」「まん」と読む土地もある。
固有名詞は、読み方も固有。
よく思い込みから勘違いしやすい。
例えばコレ。

滋賀県の「米原市」。
正しくは看板のアルファベットルビのとおり「まいはら」。
しかし、通称「まいばら」の方がメジャー。
また、同市の駅の名前は「まいばら」、北陸自動車道のICは「まいはら」と読む。
複雑なだけに、間違わないよう気を付けねばと思う。

さて、前述の画像を撮影したのは、一昨日の朝。
高速道路のSAでシャッターを切ったのだが、
その日帰りドライブ途上、ある珍妙な読み間違いに遭遇した。

僕は、高速道路を走る際、交通規制や渋滞情報などを入手するため、
よく「ハイウェイラジオ」を利用する。
その放送は、道路管制センターへ集約された情報をもとに、
あらかじめ録音された単語をプログラムでつなぎ合わせた合成音声による案内。
為に、時々イントネーションに誤りが生じるのだが、
先日のそれは「じ」が「に」に置き換えられるという何とも滑稽なものだった。

11月11日から12月11日までのあいだ、
 夜11時から午前11時まで、交通規制が予定されています。


これが、以下のように聞こえたのだ。

にゅういち月にゅういち日から、にゅうに月にゅういち日までの間、
 よる・にゅういち時から、午前にゅういち時まで…


こみ上げる可笑しさをこらえきれず、
楽しいひと時を過ごせた僕が向かった先は、滋賀県大津市。
マザーレイクには、夢を乗せ湖面を駆ける6色の舟が待っている。
以下、次回。
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