前沢氏、100万円配り影響調査 ZOZO創業者、千人を対象に
インターネット衣料品通販大手ZOZO(ゾゾ)の創業者で前社長の前沢友作氏は1日、千人を対象に1人当たり100万円の現金を配り、労働意欲を向上させる可能性といった影響を調査する社会実験を始めたと発表した。政府が最低限必要なお金を全国民に配る「ベーシックインカム」の有効性を検証するという。計10億円の費用は前沢氏個人が負担する。
前沢氏は今年1月にツイッターで参加者を募集し、約403万人の応募があった。選んだ千人を給付方法の異なる3グループに分けて、現金の使い方や、生活の変化について約1年間かけてアンケートを実施。結果は研究者の協力を得て論文などにまとめる。
前沢友作氏 |
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💛【帰らんちゃよか】 島津亜矢
日本はなぜ「飲食店や酒場にいくな」というだけで補償をしないのか…英、独、仏は休業の飲食店に従業員の賃金や家賃を補助

補償を口にしない小池知事(東京都公式HPより)
東京五輪の延期が決まった途端、安倍首相よろしく「やってる感」アピールのための記者会見を開くようになった小池百合子・東京都知事。会見を開くというのなら毎日定時に定例会見をセットすればいいだけなのに、3月30日も「緊急」の記者会見を開催し、何を言い出すかと思えば、こんな話だった。
「夜間から早朝にかけて営業しているバー、ナイトクラブ、酒場など、接客を伴う飲食業の場で感染したことが疑われる事例が多発している」
「若者はカラオケ、ライブハウス、中高年はバー、ナイトクラブなど、接待を伴う飲食店などに行くことを当面、控えて自粛をしていただきたい」
バーやキャバクラ、居酒屋、カラオケ、ライブハウスに行くな──。都知事自ら「緊急」でわざわざ感染リスクが高い場所だとして業種を名指しし、自粛を呼びかけたわけだが、一方、名指しされた業種を生業とする人びとへの補償については、「さらなる支援を国に強力に要望することと同時に都独自の対策も今後考えていきたい」と言うだけだった。
まったく、ふざけるのもいい加減にしろという話だろう。そもそも、バーやキャバクラ、居酒屋、カラオケ、ライブハウスに行くことが感染リスクが高いというのなら、客に「行くな」と言う前にまずは休業を促すべきだ。
バーにしても、キャバクラにしても、居酒屋にしても、そこはただたんに飲み食いしたり接待したりする場であるだけではなく、馴染みの店主や常連客、贔屓のスタッフとのコミュニケーションを楽しむというコミュニティが存在する。そのコミュニティが、家族や友人と会うことと同じように、生活を営む上で重要な一部となっている人もいる。いま、新型コロナでそうした業種がピンチであることを踏まえれば、店が開いていれば顔を出そうと思う人がいてもおかしくない。
つまり、ほんとうに感染拡大を阻止しようと小池都知事や安倍首相が考えているのであれば、客側に「あそこには行くな」「不要不急の外出は控えろ」と言うだけでは意味はない。店側に休業を促した上で、合わせて休業のための補償をしっかりおこなうべきなのだ。
だが、小池都知事も安倍首相もそれをしない。ようするに、店側に休業を促せば当然、補償の話になるから、それを避けるために客側に「行くな」と自粛を呼びかけるだけなのだ。これでは感染拡大防止策になっていないだけでなく、経済的にも人を見殺しにしようとするものではないか。
だいたい、バーやキャバクラ、居酒屋、カラオケ、ライブハウスを名指ししたこと自体が恣意的だ。厚労省のクラスター対策班は都内の感染経路が不明な感染者のうち約3割(38人)がこうした業種に関連していたというが、残り7割が感染経路が不明になっていることのほうが重大で、クラスターを潰していくという現在の対策自体が限界にきていることの証拠だ。なのに、わざわざ緊急会見を開いてまで“夜のクラスター”の恐怖を煽ったのは、「やってる感」を演出するために特定業種をスケープゴートにしたのではないか。
ネット上では、イベント自粛を呼びかけながら補償策をいまだ打ち出さない安倍首相に対して「自粛と補償はセットだ」という声が高まっていたが、今回の小池都知事の特定業種を名指しして殺しにかかる対応にも同様の意見が噴出。これはあまりにも当然の反応だと言わざるを得ない。他国の対応と比較すれば、いかに安倍首相と小池都知事の対応があまりに無責任で、感染症対策になっていないことがよくわかるからだ。
イギリスやフランスでは飲食店従業員の賃金最大8割を政府が補償、店舗閉鎖を促した
実際、イギリスでは、飲食店が一気に休業したのは、補償を打ち出したことがきっかけになった。イギリスでは20日の夜からカフェやパブ、レストランに対して閉鎖指示を出したが、一方で休業に追い込まれた飲食店などに対して政府は賃金を最大8割、1人あたり最大で月約32万円を補償すると発表。これによって、〈急速に客足が遠のいた飲食店の多くが「政府保障があるなら閉めよう」と一気に店舗閉鎖に踏み切った〉(東洋経済オンライン27日付)のだという。
イギリスだけではない。ドイツでは自営業者らに3カ月で最大約108万円となる給付金を一括で受け取れる支援策を発表。さらに、家賃の支払いを延期できるテナントの救済策や、9月まで家賃滞納を理由に追い出すことを禁止するなどの対策が打ち出されている。
また、フランスの状況をレポートした29日放送の『サンデーステーション』(テレビ朝日)によると、ロックダウンされたフランス・パリでは、営業禁止となった店舗の休業中の家賃や光熱費、従業員の給料などが政府によって補償されるとし、取材に応じたレストランの日本人シェフも、給料が84%補償されていることから生活に支障はないと語っていた。
感染拡大を防止するには外出を自粛するほかないのは各国とも同じだ。だからこそ、不要不急の外出をさせないよう店舗の閉鎖・休業を要請するわけだが、同時にしっかりと補償策が打ち出されている。それがどうだ。かたや日本は、いまのところ売り上げが減少する飲食店への特別貸付や融資、雇用維持のための助成金制度の特例措置が拡大された程度。休業補償は、休校によって子どもの世話のために仕事を休んだ場合だけで、それも企業務めで日額上限8330円、自営業者やフリーランスは日額4100円でしかない。
客足が遠のいていたとしても、家賃やテナント料、人件費といった固定費を捻出するために店を開けざるを得ない状況に多くの店舗が追い込まれるなか、早急に打ち出すべきなのは、他国のような補償策であることは間違いない。これは、閉店を余儀なくされて失業する店主や従業員を少しでも増やさないための経済策でもあると同時に、感染症対策である。安倍首相は28日の会見で、感染拡大が抑制されたら外食やイベントなどに「短期集中で大胆な需要喚起策を講じる」とし、「一気に日本経済をV字回復させていく」などと語ったが、一体どれだけの店舗・人びとが、感染拡大を抑制する段階まで持ちこたえることができるというのだろう。
このままでは、バーも、キャバクラも、居酒屋も、カラオケも、ライブハウスも、政府に見殺しにされる瀬戸際だ。店舗とあらゆる従業員の生活が守られるよう、政府と東京都に対して「自粛と補償はセットだ!」ともっと声を大きくしていくしかない。(編集部)
政府は“自粛と一体で補償”と宣言を
志位委員長が会見で提起
日本共産党の志位和夫委員長は31日、国会内での記者会見で、記者団から「緊急事態宣言」の是非について問われ、「これは政府が判断することだ。わが党は判断する材料をもっていない」と述べたうえで、「政府がいま行うべき宣言は、『自粛と一体で補償する』という宣言だ」と強調しました。
![]() (写真)記者会見する志位和夫委員長=31日、国会内 |
志位氏は、安倍晋三首相が要請した「三つの密(密閉、密集、密接)を避けること」やイベントの自粛、小池百合子東京都知事が要請した繁華街などへの夜間外出の自粛に触れ、「自粛は大切なことだが、自粛を実効あるものにしていくためには、自粛に伴う損失に対する補償がいる」と指摘。「例えば飲食店で、感染のことを考えたら休業した方がいいと思う一方で、店舗を閉めれば固定費が払えずつぶれてしまうと、やむを得ず開けているケースも少なくない」と説明し、「安心して休業できる補償が必要だ。そうしてこそ初めて爆発的な感染の防止ができる」と述べました。
また志位氏は、「英国では、労働者・自営業者・フリーランスの月額所得の8割の約33万円を上限に補償し、ドイツでは5人までの事業所で108万円、10人までで180万円を一括して出すと決めている。フランスは賃金の10割を補償する方針だ」と紹介し、「『自粛だけ要請してあとは自己責任』では、感染防止は実効あるものにならない」と主張しました。
- 政府は“自粛と一体で補償”と宣言を/志位委員長が会見で提起
- コロナ対策 認識を共有/志位委員長が岡田代表・福島党首と会談
- 補償軸の緊急経済対策を/野党書記局長・幹事長会談で確認
- 刑法改正へ検討会設置/性犯罪被害者が参加/法務省
- 労働者保護適用せず/高年法改定案成立 共産党は反対/倉林氏が追及
- “文化の灯を消すな”/文化芸術振興議連 菅氏に緊急決議提出/市田氏が参加
- IFCへの増資批判/大門氏 「問題案件融資の機関」/参院財金委
- 不正な精液国外搬出阻止/家畜改良法改正案など可決/衆院農水委 田村貴昭氏が質疑
- バリアフリー 全駅に可動柵設置を/高橋氏質問 障害者団体参考人/衆院国交委
- 検察人事/歯止めない政治介入/藤野氏「立法事実ない」/衆院法務委
- NHK経営委の「厳重注意」/伊藤氏「議事録公開を」/参院総務委
- 介入解明はなくNHK予算承認/共産党は反対
- 4~5月 地方議員選挙/日本共産党の立候補者
- コメなども補助対象/給食食材違約金 農民連に農水省
- 感染から労働者守れ/米ニューヨーク アマゾンでスト
- 「地球の将来が危険に」/NGOなどが批判・抗議
- 新型コロナウイルス/感染者多い8都道府県/空きベッド余裕なし
消費税増税半年/5%緊急減税の政治決断こそ
きょうの潮流/「やりたくてもやりようがない」。電話の向こうで舞台俳優…
やっとこの日が来た。「呼吸器事件」で殺人犯にされた西山美香さんに大津地裁は「事件性なし」と再審無罪を言い渡した。自白の誘導などで殺人事件に仕立てた捜査と司法の責任は、極めて重い。
滋賀県の病院で二〇〇三年、七十二歳の男性患者が死亡。看護助手だった西山さんが「人工呼吸器のチューブを外した」と「自白」して殺人容疑で逮捕され、懲役十二年が確定した。この判決で、死因は自白に沿う「低酸素状態」、つまり窒息状態とされた。
「自白」は虚偽で、鑑定による死因も誤っていた-。今回の再審で無罪を言い渡した判決文は、明確に書いた。「何が何でも有罪を」と前のめりになる捜査と、それをチェックできなかった司法を批判した。
なぜ捜査段階で「自白」したのか。判決は「取り調べの警察官の不当な捜査によって誘発された」と断じる。
その背景として、西山さんには知的障害によって迎合的な供述をする傾向があると認定。取り調べの警察官は、自分に好意を持っていたことに乗じて「西山さんをコントロールする意図があった」とまで述べ、西山さんが捜査側の術中にはまった過程を分析した。
また、死因について無罪判決は、「低カリウム血症による致死性不整脈」などを認定。つまり呼吸器はつながったままの自然死だった可能性が高いと判断した。
今年二月に始まった再審が素早く無罪判決に至ったのは、西山さんの早期汚名返上の見地からは喜ばしいものの、担当の警察官を法廷に呼ぶなどして虚偽の自白に至る経緯を検証してほしかった。
大津地裁の裁判長は、無罪判決の言い渡し後、明確な謝罪はなかったものの、西山さんに「刑事司法を改革する原動力にしていかねばならない」と決意を述べた。「もう、うそ(誘導された自白)は必要ない」とも語り掛けた。
この冤罪(えんざい)事件では、捜査のずさんさを見抜けなかった裁判所にも大きな責任がある。最初から数えて七つの裁判体が有罪判決や再審請求棄却を続け、八つ目の大阪高裁がようやく再審開始を決定、最高裁を経て十番目の大津地裁が無罪判決を出した。事件発生から十七年がたっていた。
この間、二十代と三十代を獄中で過ごした西山さんは大きな損失を被った。メンツのための捜査、あるいはいったん下された判決に忖度(そんたく)するような訴訟指揮はなかったか。検証して出直してほしい。