「政治とカネ」をめぐる問題が噴出している寺田総務相に証拠隠滅の疑いが浮上した。昨秋の衆院選で地元市議らに違法なカネを配っていた疑惑を週刊文春が報じると、寺田はそれを裏付けるツイートを突然削除。怪しさ満載だ。自民党内からも辞任を求める声が強まっていたため、ようやく岸田首相は寺田総務相を更迭する方針を固めた。20日にも、対応を協議する方針だという。山際前経済再生相、葉梨前法相に続く「辞任ドミノ」だ。
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文春によると、寺田大臣は衆院選が公示された昨年10月19日、地元の広島5区に在住する市議6人に「ポスター貼付料」として計4万1700円の労務者報酬を支払い、公選法違反を疑われている。公選法の規定では、選挙期間中に報酬を支払うことができるのは、ウグイス嬢や手話通訳者など労務者らに限られるからだ。寺田氏は報酬を支払った市議らにポスター貼りに加え、選挙運動も担わせていた。谷恵介・呉市議が文春の取材に「応援演説はしました」などと話し、複数の市議が同様の趣旨の証言をしている。
問題のツイートは2件。1つ目には〈本日衆議院選挙が公示され呉と竹原で出陣式を執り行いました〉などと記され、寺田氏が演説する様子を収めた写真が3点投稿されていた。そのうち1点には、寺田の後ろで左手を腰に当て、右拳を突き上げる谷市議の姿が写っている。
2つ目のツイートには、出陣式の様子を撮ったYouTube動画のリンクが張られている。現在はリンク切れしているが、文春は〈寺田氏のYouTubeチャンネルでは(略)ガンバローコールで手を振り上げる谷氏の姿が映っている〉と報じていた。
運動員買収の証拠を隠滅するために、ツイートを削除したのか。寺田事務所に問い合わせると、文書でこう回答した。
■党内からも辞任圧力
〈谷市議やその関係者ではない一般の支援者の方から自分の顔が出ているため動画を削除して欲しいという依頼があったため、17日の夜に削除しました〉
証拠隠滅については否定した。
やけにタイミングのいい「削除依頼」があったものだ。裏金づくり疑惑、脱税疑惑、後援会を巡る虚偽記載など、「政治とカネ」を巡る問題が次々に発覚する中、寺田氏はトンデモ釈明を繰り返してきた。その挙げ句、18日の会見では「地元の方々から〈正直に説明していて感心した〉という声が上がっている」と居直り。辞める気はサラサラない口ぶりだった。
今年度第2次補正予算案の審議入りを控え、さすがに党内からも「21日からの補正予算案審議入り前に辞めさせるべき」といった声が上がっていた。身内に甘い岸田首相は、また後手後手の決断で墓穴を掘ってしまった。
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