新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の感染が急拡大する中、東京都の新規感染者は20日、過去最多を更新する8638人となり、自宅療養者は1万8000人に達した。保健所の業務が逼迫し始めており、東京都は重症化リスクが低い濃厚接触者への調査について「感染した本人から濃厚接触者とみられる人に連絡する」といった対応を検討するよう保健所に通知した。(天田優里、井上靖史、鷲野史彦)
◆コロナ対応、増員したのに
「これだけ感染者が出ていると、もうすぐ(新規感染者)全員が自宅療養しなければならなくなる」。千代田区の担当者は、焦りを見せる。保健所が健康観察する感染者は18日まで1日に30人程度だったが、19日は63人、20日は70人に倍増した。
区は第6波に備え、コロナ対応の人員を約30人から5人程度増員。20日、さらに他の課の職員6人を臨時的に投入した。それでも、濃厚接触者への継続調査は難しくなっている。
これまで濃厚接触者にも保健所から毎日連絡して体調に変化がないか確認していたが、担当者は「人手が足りず、最初にこちらから電話して、その後は具合が悪くなった時に本人から連絡してもらう方法に切り替えた」と話す。
◆濃厚接触者調査、企業に委ねるケースも
港区は15日から、企業で感染者が出た場合、濃厚接触者の調査を保健所で行わず、企業に委ねた。1日の新規感染者が100人を超え「調査がかなり厳しくなった」と担当者。「濃厚接触者の調査は、重症化リスクが高い高齢者の施設や、感染者が増えている保育所を重点的に行っている」と言う。
東京都は19日、保健所に対し、濃厚接触者の調査を高齢者施設などや、感染者の同居家族に重点化するように通知。それ以外は、感染者から濃厚接触者とみられる人に連絡してもらったり、企業に調査を委ねたりする対応を検討するように求めた。
◆23区のうち10区ほどは業務重点化
東京都内の自宅療養者は20日現在で1万8913人。第5波の昨年9月3日以来、1万8000人を超えた。第5波では保健所が感染者に健康観察の電話を入れるまでに4日以上かかることがあり、自宅療養中の死者は60人に上った。
「オミクロン株は、(第5波で主流だった)デルタ株と違い、呼吸困難などの症状が出にくいと言われるが、重症化の危険性はある」と東京都の担当者。「保健所には、感染者の状況の把握や入院調整などに業務を重点化してほしい」と話す。23区のうち、10区程度は業務を港区のように重点化しているという。
その上で、感染者から濃厚接触者の可能性があると連絡を受けた人には「医療機関を受診したり、都が開設する無料のPCR検査を受けたりして感染していないかを確認してほしい」と呼び掛けている。
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