「カラマツの下の花畑」・・・・♪

軽井沢での子供時代に作った落葉松の下の花畑ーー心は今も~!「草花」「99歳の軽井沢物語」「葛西スケッチブック」ほか。  

入試の季節に

2006-01-12 | 日常の小さな喜び&こころ便り

”今年は受験生となりました”
甥たちの消息が混じる年賀状。
この季節になると、今でも、記憶の底から立ち上る思いがある。
         ☆☆☆

MARUYAMA 先生には、○十年も昔、中学の三年間を教わった。
 専攻が心理学であったせいか、難しい年ごろの生徒たちの心をよく理解し、導いてくださった。 
 公立高校の入試の前日、ホ-ムル-ムの時間にみんなで歌をうたったことが、いまも忘れられない。
 先生は音楽室から、オルガンを運んでこられたかとおもうと、
「さあ、みんな、大きな声を出して」
 と、気力のこもった口調で言われた。
 私たちは意表をつかれながらも、曲に合わせてうたいだした。
 「水がめ」や「もずが枯れ木で」など、何回も斎唄や輪唱をつづけているうちに、気持ちは清々しく穏やかになった。緊張感がほぐれ、クラス全員の気持ちがひとつになっていった。

  ♪水瓶の 水のおもてに
   夜はふけて 星のひとひら 
   ゆれもせで ゆれもせで
   浮く

 毎年入試のころになると、あのときのことを懐かしく思い出す。
 いつだったか、先生に当時の話をすると、
「そんなこと、あったかやあ……」
 すっかり忘れておられる。

 クラス担任だけでなく、授業は社会科を教わった。
 そのオ-プニングに話される「ニュ-ス解説」も楽しかった。
 また、心理学の研究をされていて、月に一度は、数字がいっぱいに並んているクレペリン検査を実施された。
 みんなは、この検査を死ぬほど嫌がっていた。家庭訪問のおりには親たちから、「娘が二つ嫌なことがあると言っています。ひとつは生理で、もうひとつは、クレペリン検査だ」と、よくこぼされた、という話をあとで笑いながらなさった。
 先生は中学校の校長を最後に教職から身を引かれたあと、教育委員会の仕事にたずさわられた。現在は長野県の佐久に住まわれ、たいへん元気で俳画や老人会の世話をされている。                             (  2000・9・14)
                        ***

きっと今も、日本のそこここに、そんな先生たちがいてくださるのだと思う。

コメント (4)
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