2005年6月2日 (木) |
三時の貴公子!? <いとしき草花たち> |
☆☆☆☆☆ ☆☆☆ ☆
最近、街なかや道端などで、よく見かける花が、ハゼラン。濃いピンクの小さな花と、紅い実が目立ちます。マツバボタンやポーチュラカなどに近い、スベリヒユ科の帰化植物です。日照りや乾燥にも強いので、道路のコンクリートのすき間や線路脇の石ころだけのところからも芽を出し、たくましく育っています。 以前、友人から, 「午後三時になると、必ず咲く花があるっていうんだけど、知っている?」 と、尋ねられたことがありました。 その花が「ハゼラン」で、 “三時草”とか“三時の貴公子”とも呼ばれていることを知ったのは、つい、この間のことです。 午後三時ごろになると、小さなつぼみが、次々と爆ぜるようにして開き、五ミリほどの濃いピンクのかわいい花を咲かせます。 その花の美しさを蘭に喩えたのでしょうか、「爆ぜ蘭」。夕方には、もう閉じてしまいます。花の後にできる実の色が赤褐色で、珊瑚(コーラル)に似ていることから、イギリスではコ―ラル・フラワー。
ハゼランのほかにも、咲く時刻の決まっている花はあります。 午前十一時から午後一時頃に咲く―ー、ゴジカ(午時花=アオギリ科)、 午後四時頃から咲き出すのは、オシロイバナ、など。 花たちに組み込まれた、DNAの不思議さを思わずにはいられません。 さてこの時季、高原では、ツリガネニンジンが、その青紫色の小さなベルを、たくさん風に揺らせています。 キキョウ科の多年草で、花は釣鐘形、根茎が朝鮮人参に似ていることから、名がつきました。漢方薬では、根茎は沙参といって、セキ止めや去痰剤に用いられています。 若芽は、「トトキ」といい、摘んで、天ぷらや和え物、味噌汁の実などにします。「山でうまいは、オケラにトトキ ~」と、俗謡にも謳われ、古くから愛されてきた山菜です。 むかし、田舎の母からの小包の中に一掴みのトトキが入っていて、そこから、夏草の茂る山道や、浅間山の姿までが、懐かしく立ちのぼり、嬉しかったことを思い出します。
釣鐘人参の花になぐさむ峠かな 池原信子
(2003年「いとしき草花たち―ー8月の花」より) | |
2005年4月19日 (火) |
落葉松の下の花畑 <いとしき草花たち> |
♪春になると
子どもの頃、近所に花好きのおばさんがいたので、春にはよく花畑の手伝いをした。 子どもたちは、みな自分のちいさな花畑を持っていて、おばさんのお余りのダリアなどの球根をもらって育てた。 サクラソウやクリンソウ、苧環、山百合など、思い思いにお気に入りの花を植えた。 大きな落葉松の下の、あまり日当たりの良くない場所で、5~6センチも掘れば、軽石がごろごろでてきた。それでも、せっせと世話をしては、花が咲くとおばさんを呼びに行った。
「まあ まあ、きれいに咲きましたこと。ようございましたに」 ちょっと太目の、和服姿のおばさんは、子どもたちに案内されて、5-6箇所の花畑を見て回っては、ほめてくれた。 おばさんに子どもはいなかったが、毎日のように遊びに行って、石灯籠や錦鯉泳ぐ池のある日本庭園の中を、駆け回った。さぞ迷惑だったろうに、いつもにこやかだった。 石楠花や、牡丹、ケマンソウを知ったのもこの庭から。
T山さんのおばさん、私の花好きのルーツは、あなたでしたね。 | | |
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