かわらぬもの３

用事があって神田にある
とある地銀の東京支店に出かけた

神田は迷宮のような所で
神田マルマル町といった地名があちこちにある
どうも戦後千代田区が誕生する際の町名変更の
名残らしい

大学がこの一角にあったこともあり
アルバイト先もこのあたり
塾講師をしていたのだけど
元々落ちこぼれ出身だから
落ちこぼれ担当をしていた

デキの悪いヤツを教えるのは楽しい
元々デキの悪い奴等だから成績が悪くても
こっちのせいにはならない
しかし成績が上がってくると親には感謝されるし
連中の顔つきが変わってくる
自信をもつようになってくる姿がなによりうれしい
そんな姿をみているうちに
何故教職課程を大学で履修しなかったのか
何度も後悔した

よく塾で遅くなるとパートのおばさんが
近くのトンカツ屋の弁当を買ってきた
一番安い弁当
実の処あまりとんかつは好きではなかった
脂身がダメで家ではせいぜいヒレカツ

たぶん安いロースなんだろうなと思ったのだけど
折角買ってきてくれるのに贅沢はいえない
意を決して食べてみるとこれがうまい

　　　　　　　　　　　　　　　目からウロコ

とはこのこと以来ヒレからロースに移行してしまった
神田にやってくると　いつもこのとんかつ屋で一番安い
かつ定食を注文している

　　　　　

１年ぶり位に行ってみたが２階の座敷が
イス席になり御新香とり放題がなくなった位で
変わりはなかった

一番安いものがこれだけうまいのだから
それ以上のモノを頼む勇気がうまれてこない