「快走爛漫Ⅱ」

アウトドア大好き人間です。 (since2005.10) 

裏銀座、 表銀座縦走   (3日目)

2010年08月28日 14時34分01秒 | 山歩き
8/23(月)  三俣山荘C ~ 三俣蓮華岳 ~ 黒部五郎小屋 ~ 黒部五郎岳 ~
          黒部五郎小屋 ~ 三俣山荘Cテント蓮泊。



3日目です。   今日は三俣Cから黒部五郎岳を往復します。  標準タイム9時間超えのため朝早くテン場を出た。
 

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「黒部五郎岳」  

  黒部五郎は人名ではない、山中の岩場のことをゴーロという。五郎はゴーロの宛字で、それが黒部川の
源流近くにあるから、黒部のゴーロ、即ち黒部五郎岳となったのである。
                                   
                               深田久弥著  「日本百名山」  より抜粋引用。


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3時30分起床、  4時30分出発。


今朝もまた真っ暗な登山道を先ずは三俣蓮華岳目指して登り始める。

登山道は巻き道もあるが、明日再度同じ道を登り双六小屋へ抜ける下調べにもなるので、
行きはあえて距離の長い表の道を選んだ。 

道は狭く急なゴロ石が多かった。    空には月夜が・・・。

ほどなくして三俣三差路着。     ここは長野、岐阜、富山の県境である。  勿論富山県側へ入る。

最後の急な坂を登り切れば三俣蓮華岳に到着する。    夜明け前。  頂上は寒風吹きすさぶ。

槍の穂先も静かな佇まいを呈している。


ザックは軽いためガンガン登っていけた。    軽いということはこういうことか・・

先に進み三俣蓮華岳を振り返る。    日の出を待つ登山者3人。


燕岳上?に上がる朝日。     今日も天気はいいようだ。


登山道は山の北斜面をタバース気味に付いていた。  右下は結構な斜面で落ちたら危ない。

お気に入りの一枚。     「黒部五郎岳山頂を照らす朝陽」


あの広大なカールが素晴らしい。

手前の登山道もブワーっと赤く染まっていく。    背中が暖かく体温が上がり益々好調になってきた。  


黒部五郎小屋までの道は大きな岩がゴロゴロした急坂をどんどん下って行った。   帰りの登り返しがきつそうだ。

黒部五郎小屋着。        登頂に備え行動食と水分を補給する。




さて、 行きますか。        登りはカールコースで。


広大なカール地帯。     見上げるとすごい迫力で稜線が迫ってくる。   大昔氷河だった所。  


途中の美味しい水場で休憩。      カールのほぼ中央。    カール一人占め。


長嶋茂雄さんばりに大きな声で言ってみた。    「ヘイ、  カール!」     この前の涸沢でも言ったっけなあ。

右斜面のきついトラ路を登る先行者。    当然抜かさせていただいた。  



青空が眩しい。


頂上では何やら旗を広げてセレモニーをやっていた。


日本百名山達成とのこと。   初めての遭遇、 僕も拍手でその栄光をたたえた。   おめでとうございます。

(足掛け15年?   自分にもできるんじゃないかと思いチャレンジし続けたとのこと)


そして百名山35座目の僕が薬師岳と立山を従えいつもの決めポーズで。



“百名山”   一応チャレンジはしているものの、、   財力に乏しいオイラは・・・

「今はテン幕縦走の醍醐味にハマッてしまって」    などと方向転換を言ってみちゃったりして??

型に捉われず登りたい山に登りましょ。     それが百名山であればよし、  なくともよし。


カール側を見渡せば・・  

左最奥に薄っすら白馬連山、 赤牛岳、 黒岳、 鷲羽岳、 三俣蓮華岳、 右奥に槍、 南岳、 そして大切戸。

そして中央左手に広がる丘陵地帯は、、   日本最後の秘境と呼ばれる  「雲ノ平」 


「北アルプス最深部、  北アルプスのコア」    

平地からだとこの場所は絶対に見えないしその存在すら知らないと思う。

ここに立ってみてその懐の深さが初めて分かりました。      天気サイコー!    チョー気持イイー!!


この方たちと仲良くなりました。   地元富山だそうでチョコレートを頂きました。


皆さん、  男子も女子も山ノボラーの方たちは元気いっぱいです。  

そして僕も元気いっぱいです!     トンガリ君♪


山の武器、  じゃなくて(笑)    なんかいいっしょ、 こういうの。    仲間って感じしませんか。

(下奥に有峰湖がちょっとだけ顔を出していますね)


帰りは尾根コースを下ります。       それにしても、、 絶景ですね。


        

それは岩場を下っていた時のこと。     視界の左隅に何か動めく物体が・・・

んんっ?  猿か??    いや違う、 もっと何かモソモソしてる・・


「 !   く、  熊!!! 」    

僕との距離10mくらい。    体が氷つきました。    全然動けません。 

そのうち熊は斜面を下っていきました。     もう心臓バクバクでした。


最初に気が付いた時はもっと近くにいた。


子熊に見えるがこの大きさで大人の熊だそう。      体長1.5mくらい?

(下山後五郎小屋の主人に報告した時に、 それは成熊だと教えられた)

岩場のドンズバまで行ったこの熊は、 この後また上側まで来てそれから沢に下りて行った。

時間にしておよそ1分くらい?      すごく長く感じた時間だった。

その間に考えていたことは、、   「ストックのカバー外すべ」   そんなことしか考えられなかった。

               ちょー  ビビッたッス。


気を取り直して先に進みます。     と言いつつさっきの熊との遭遇場所を振り返ってしまいます。


と言いつつこの景観、   素晴らしいの一言ですね。


黒部五郎小屋です。      無事に戻って来られました。             

小屋で一休みし三俣Cまで戻ります。


お花畑を過ぎ、


最後の雪渓を渡る頃・・


近くでヘリが行ったり来たりいている。       きっと遭難者を探しているのだう。




谷の方へ行ったかと思ったらまた戻ってきて僕の真上でホバリング。


ここで間違っても手など振ってはならない。    

そう、 手を振った瞬間に梯子がスルスルと降りきて   「ハイ、300万円」  となる。

遭難者は僕じゃない、 早く本当に待っている人の元へ行ってください。 (この後十数分後下界に飛び立っていった)


やっとテン場まで戻って来ました。     ここまで8時間、、   ふぅ・・・


陽はまだ高い。      休憩後往復1時間の黒部川源流まで行ってみることにした。

黒部川源流      源流の目の前には雲の平の丘稜がドーンと広がっていました。


テン場に戻り本日の山行これで終了。       さて、 例のアレをやりますか。

鷲羽岳と、 洗いたてのシャツと、 コッヘルのフタに乾杯! (笑)     



顔と首筋と腕は連日の日焼けで真っ赤っ赤です。      心の中も真っ赤っ赤です。



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3日目が終わりました。


黒部五郎岳の広大さにはビックリしました。   とりわけあのカールは素晴らしかった。




あした、、



君に登る!!



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<出費>

 ・テン場代   500円
 ・ビール代   600円        計 1,100円

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メンテナンス

2010年08月28日 11時12分49秒 | 徒然
この週末は家で休養と山ギアメンテに勤しんだ。

休養と言っても北アから帰宅の翌日は体の筋肉等全然痛くはない。

これも日頃の鍛錬の成果かほぼ毎週の登山のお陰なのだろう。  

使う筋肉等、 体がもう完全に山仕様になっているようだ。


以前何かの本で読んだことがある。  

「2,700m ~ 3,000m級に登ると1週間くらいは高地の体が持続する」  と。

であれば毎週にでもどこかの山に登りたいものだ。  実際帰宅してからと言うもの、

北ア縦走の熱も冷めぬまま、 山の本や地図を睨めっこしている自分がいるのである。



がしかし、 夏の一大イベントも終わったことだし、この辺で体と山ギアのメンテを

しっかりやっておかねばならぬ。  それをやってこそ次の山へつなげられるのだ。



■体のメンテは歯である。 

ここ最近歯石取りにせっせと歯医者通いをしていたのである。 もう既に2カ月

(約2週間間隔を空けて)通っている。  前歯は1日で済んだのだが、 上下の

奥歯は麻酔をかけて徹底的に歯の奥まで機具を使いガチガチに取っていく。 と同時

に虫歯の治療(自分は無いが)もしておかないと気圧が低い高地での歯痛はどうにも

ならず、そのまま山を下りるなんてことにもなりかねない。 せっかくの山行が・・。



■もうひとつは山ギアのメンテである。

テントとレインウエアを洗い陰干し、 乾いたらはっ水材を塗りレインウエアにはアイロン掛け。

これでゴアテックスの性能が復活し水を完全に弾くのだ。 (長期の山行の後なら尚更)

それと登山靴。 これはブラシで綺麗に土を取り表面の皮を拭いて中敷を抜いて陰干し、

保革クリームを指で丹念に塗り込みこれもまたはっ水スプレーをかけ陰干し。 それと

今回は山行の時にいつも携帯していた予備用の靴紐に取り換えた。 もう5年は使っている

靴で、 紐も所々中身が見えていて  「ちょっとヤバイなあ」  と思っていたからだ。

(勿論その他にはシュラフ干し、 ガスバーナー掃除、 ザックの紐点検等結構やった)



これで少しはすっきりした感じだしやっていて実に楽しい。  

そして何より次の山行への安全下準備として自分の目で確認・メンテがしっかりできた。



(モンベル アルパインクルーザー2500   5年モノ)


今年のシ-ズンオフはソールの張り替えだな・・・。



裏銀座、 表銀座縦走   (2日目)

2010年08月28日 01時56分32秒 | 山歩き
8/22(日)  烏帽子小屋 ~ 三ツ岳 ~ 野口五郎岳 ~ 水晶小屋 ~ 黒岳 ~ ワリモ岳 ~ 
         鷲羽岳 ~ 三俣山荘テント泊。



2日目です。    本日も快晴です。   素晴らしい縦走路が待っているでしょう。
 

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「黒岳」  

  大ていの山はその頂上から俯瞰すると、平野か耕地か煙の立つ谷か、何か人気臭いものを見出すが、
  黒岳からの眺めは全くそれを絶っている。四周すべて山である。文字通り北アルプスのど真ん中であって、
  俗塵を払った仙境に住む高士の面影をこの山は持っている。


「鷲羽岳」
  
  北アルプスの山名は、立山、薬師、笠、槍などの著名なものを除くと、明治末年近代登山のパイオニアたちが、
  案内の猟師たちから聞いて名づけたものが多い。ところが鷲羽岳は、今から二百七十年前、元禄十年の奥山廻り
  の記録以来その名が現れているのである。当時は鷲ノ羽岳と言った。

                                    深田久弥著  「日本百名山」  より抜粋引用。

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2:30  起床。    軽食、 ストレッチ、 テントたたみ等。  
4:00  出発。    本日の行程は長いので早めの出発です。


真っ暗な稜線を三ツ岳目指して歩いて行きます。   暗い稜線はいつも緊張します。

ヘッデンを点けていても足元がよく見えない(高低差が判別しにくい)ので慎重に歩きます。

富山側から吹き付けてくる風が強くすごく寒いですが、 星空に励まされ何とか歩きました。


で・・・     これです。        薄雲の上からの朝陽です。



しばし日の出の感激を味わいました。    

正面に広がっているのが表銀座縦走路です。  最終的にあの尾根を歩きます。  ここからは気の遠くなる距離です。

左端から燕岳、     真ん中が大天井岳、    そして右端に槍ヶ岳。


「三ツ岳頂上」


コマクサも可憐に咲いていました。     とても可愛かったですよ。



後ろを見れば、、    黒岳と赤牛岳も真っ赤に染まってました。。


陽が当って体も暖かくなってきました。     太陽の恵みに感謝ですね。


歩いてきた稜線です。       ずぅーっと奥に見える山脈が白馬連山です。


こんな稜線上を歩いて行きます。   朝陽を浴びながら歩いてきます。   すごく気持いいです。

ここ裏銀座は人も少なく(現に僕の前後には視認できる人影はなし)本当に静かな山歩きができます。

朝、キャンプ場を発ってからずっと一人で歩いています。   誰とも会わないしすれ違いもしない。

「野口五郎小屋」        ここも古い小屋でいい雰囲気です。



(閑話休題)  

 “五郎” ・・  山の頂上近くに岩がゴロゴロしている地帯をゴーロ帯という。 それが訛って五郎となった。

 “黒部と野口” ・・  黒部にある山と、野口にある山のそれぞれの呼び名。 (場所)

  で、  「黒部五郎岳  と  野口五郎岳」    が存在する。


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ゆっくりと一歩づつ裏銀座の路を噛みしめながら、楽しみながら歩いていきます。

で、  野口五郎岳頂上です。    平べったい頂上でした。


「槍より高いおにぎりくん♪」    おにぎりのトンガリはちょっと丸いですね。(笑)



この景色、 この青い空。      スゲースゲーって叫んでいました。  (ホントです)


槍をバックに・・    ここには他者もいました。   お互い山固定で華が咲きました。


昨日出会った人もそうだが、 何処に行くのかと聞かれ、  「燕岳までです」 と答えると必ず驚かれます。

えっ、 裏表全部縦走するのか、  と。   

でも体力と少々の長い休みが取れれば山をやっている方であれば歩き通せると思います。
(天候不順や怪我病気時はその限りではない)



しばし休憩後出発しました。

これから歩く稜線。  真ん中左寄り岩肌の山が鷲羽岳、右端の山が黒岳。  北アルプスの最深部を歩いています。



人、  全っ然いません。        こんな山域もあるものなんですね。


そしてつい後ろも振り返ってしまう。  終えてきた稜線。    左奥が三ツ岳方面。


ここが最下部です。   そしてここからはきつい登りが待ってました。   しかも細尾根で岩稜。


実に見事なV字谷です。  氷河が削った跡ですね。      左が薬師岳、 その遥か奥が立山連峰です。


大崩落地帯。  吸い込まれそうです。    道幅数十センチ、慎重に進みます。  鎖? なにも無かったですよ。

(ザックの横にくくり付けた銀マットが岩に当って道から飛び出さぬよう細心の注意を払っていた)


そんな崩落地帯と急な登りを終えれば水晶小屋に到着です。



小屋のお子さん。   標高3,000mで育てば将来は凄いアスリートかな。

(いかんいかん、そんな狭い見識では。   ここは日本のど真ん中、 何でも来いやー だよね)


小屋でしばし休憩です。    例の薄皮アンパンと水でパワーアップ。


黒岳へ登ります。      小屋から往復約1時間です。


黒岳頂上。     2,986m


黒岳の別名は水晶岳です。    山頂周辺に白く光った小さな水晶が見出せるからだそう。

頂上よりこれから登る鷲羽岳(右寄り)を望む。  正面奥が槍、その左手前が水晶小屋。


下山し小屋で休憩をとりました。

ここまでよく歩いてきたものです。


鷲羽岳へ続く稜線。


水晶小屋からは少々きつい登りが続いた。

鷲羽岳頂上。    2,924m


火口跡に広がる鷲羽池と槍ヶ岳。   今回この鷲羽池を見ることも目的のひとつでした。


そろそろ本日の宿泊地へ向かいます。

いざ、 三俣山荘へ!      岩場の大下り。  最後なのでより慎重に。。


やっとこさの三俣山荘。    この山荘フロントにTVあり、 トイレは新品ヒノキの香り♪


テント設営し・・


脇水でシャツと頭を洗い体を拭いてさっぱりし、 鷲羽岳を眺め至福のひととき。。



入念なストレッチ後2時間ほど夕寝。   実はこれが一番の至福の時かも。


そして18時過ぎ、 山荘前のベンチで槍をバックにまったり夕食。


左の女性は初日タクシー相乗りしたとっくの百名山の方、  真ん中の男性は大強者、  そして右が栃木のカッペ。

皆さんお腹がふくれていますが決して太っているわけではありませぬ。  この時間寒くてダウン等着込んでいるのれす。


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二日目、 裏銀座満喫しました。   

特に三ツ岳から水晶小屋までは素晴らしいの一言!

三俣蓮華岳キャンプ場も美味しい脇水豊富で言うことなし。

そして何より出会った方たち全員が温かく、 女らしく、 男らしく、 恰好良く、、    皆気持のいい山ヤでした。





おやすみなさい。。。