上唇の右側に指を触れるとチクリとした。髭を剃った時に傷つけたかなと思っているうちに痒くなってきた。それから少し腫れてきたようなので鏡で見ると、小さい水疱が3つできている。「ヘルペスかな」と思ったが、なぜかそう思っただけでヘルペスについては何も知らない。とにかく医者に診てもらうことだと思って、かかりつけのY先生を訪ねた。先生は一目見るなり「ヘルペスですね」と言った。やはりとは思っても正体が判らない。例によってY先生はメモ用紙を取り出して図解してくれた。先生はいつもこのように丁寧に説明してくれるので患者としては大いに安心できる。それによるとヘルペスの原因になるのはウィルスで、かつて体内に入ってから潜伏していたものが、理由は不明だが神経を伝わって広がり発症するのだそうで、帯状疱疹と言うとのことだった。私の場合は顔面神経を伝わっているらしい。人間の神経系は左右対称だから体のどちらかの側に発症するとのことで、私の場合は右側だ。右目の目尻にも何かできている。神経痛が出てはいけないから点滴しましょうということで、その日は点滴を受けることにした。1時間くらいかかりますよと予め言われたが、500㏄の溶液が血管に吸収されるのに、まるで水時計のように正確に1時間だった。
家に帰ってインタネットで「ヘルペス」を検索したら、「口唇ヘルペス」と言うのが最初に出ていて、読んでみると私の症状と同じで、あまり大したことはないようなので安心した。ところが西安の李真にチャットでこのことを言うと「ヘルぺス?あれは痛いよ」と返ってきた。また卒業生の一人にメールすると「ヘルペスと聞いただけで 痛い~ って感じ」という返信が来た。それで何となく不安になって、次に点滴を受けた時に先生に尋ねると、口唇ヘルペスではなく帯状疱疹で、口唇ヘルペスよりタチが悪いらしい。最初に帯状疱疹と聞いていたのに、勝手に口唇ヘルペスと思い込んで楽観していたわけだ。
帯状疱疹はひどく痛いものらしい。経験のある知人の女性は、それはそれは痛かったですよと、さも痛そうに顔を顰めて言った。右脚に水疱ができてそれが広がり、ストッキングをはくこともできなかったそうだ。インタネットで調べ直したら「下着の摩擦だけでもピリピリとした、目を剥くような激しい痛みに悩まされることがあり」とあって、少し怖くなった。原因についてはよく分からないらしいが、もう1人の経験者の知人はストレスだろうと言う。神戸の大震災の時には患者が多く出たらしい。最近ストレスはまったくないんですよと言ったら、いや、きっとあるはずだと、とうとうストレスがあることにされてしまった。実のところヘルペスと言うことになって、顔の右半分のちょっとした痒みでさえもヘルペスの所為かと、顔の皮膚の下の神経を伝わってウィルスがゾロゾロと移動している様子を想像したりして、かえってストレスを感じるようになったように思う。
思えば、この世に生を享けて以来、頑健ではなかったが病気らしい病気もしないで過ごしてきた。虫垂炎で入院することもなかった。それが73年を経て、初めてちゃんとした(?)病名をもらい、やっと人並みになったのかも知れない。これからもいろいろ経験することだろうが、痛いのだけは願い下げにしたい。
家に帰ってインタネットで「ヘルペス」を検索したら、「口唇ヘルペス」と言うのが最初に出ていて、読んでみると私の症状と同じで、あまり大したことはないようなので安心した。ところが西安の李真にチャットでこのことを言うと「ヘルぺス?あれは痛いよ」と返ってきた。また卒業生の一人にメールすると「ヘルペスと聞いただけで 痛い~ って感じ」という返信が来た。それで何となく不安になって、次に点滴を受けた時に先生に尋ねると、口唇ヘルペスではなく帯状疱疹で、口唇ヘルペスよりタチが悪いらしい。最初に帯状疱疹と聞いていたのに、勝手に口唇ヘルペスと思い込んで楽観していたわけだ。
帯状疱疹はひどく痛いものらしい。経験のある知人の女性は、それはそれは痛かったですよと、さも痛そうに顔を顰めて言った。右脚に水疱ができてそれが広がり、ストッキングをはくこともできなかったそうだ。インタネットで調べ直したら「下着の摩擦だけでもピリピリとした、目を剥くような激しい痛みに悩まされることがあり」とあって、少し怖くなった。原因についてはよく分からないらしいが、もう1人の経験者の知人はストレスだろうと言う。神戸の大震災の時には患者が多く出たらしい。最近ストレスはまったくないんですよと言ったら、いや、きっとあるはずだと、とうとうストレスがあることにされてしまった。実のところヘルペスと言うことになって、顔の右半分のちょっとした痒みでさえもヘルペスの所為かと、顔の皮膚の下の神経を伝わってウィルスがゾロゾロと移動している様子を想像したりして、かえってストレスを感じるようになったように思う。
思えば、この世に生を享けて以来、頑健ではなかったが病気らしい病気もしないで過ごしてきた。虫垂炎で入院することもなかった。それが73年を経て、初めてちゃんとした(?)病名をもらい、やっと人並みになったのかも知れない。これからもいろいろ経験することだろうが、痛いのだけは願い下げにしたい。