午後3時頃、電車に乗っていると、ある駅から学校帰りの私学の女子高生が3人乗って来て少し離れた向かい側の座席に座った。3人の内の2人は腰掛けるとすぐにカップラーメンの容器のようなものを取り出した。ストローのような細長いものがカップに挿してあるのでコーヒーか何か飲料かと思って見ていたら、カップの蓋を取り、そのストローのようなものを使って中身をかき混ぜながら、団子風のものを挟んで口に入れたので箸だと分った。カップの中身は麺ではなく、スープの中に団子のようなものが入っているものらしいとしか分らなかった。それからしばらくは2人は黙って箸を使って食べていた。もう1人は板チョコを食べている。カップのものを食べている子の隣には別の女子高生がいて、これはパンを食べている。まるで学校食堂の風景だ。その様子を眺めていると、頭の中でいろいろな声が聞こえ出した。
Aが言う。まったく最近の女子高校生は場所などわきまえなく食べるのだな。人目が気にならないのだろうか。恥ずかしくないのかな。
Bが言う。恥ずかしいなんてものはどっかに放ってしまっているのじゃないか。
Cが言う。あの子達には自分以外の他人など存在しないのも同然なんだ。自分のいる空間に他人もいるなんて考えもしない。人目なんてないんだよ。
Aが言う。人前で化粧するのと同じ感覚ということか。
Cが言う。人が自分を見ているなどとは思わない。自分がいる空間はすべて自分のプライベートなものなのだ。
Bが言う。自分だけしかいない空間では何をしようと恥ずかしいことなどないわけだ。
Aが言う。しかし、まさか車内で服を着替えたりはするまい。
Cが言う。分るものか。いずれ髪を梳き直す感覚で着替えもするようになるかも知れない。見られることなんか気にしないし、見るほうが悪いと言うかもしれない。
Aが言う。家庭教育の甘さなのかな。親と一緒でも電車の中で飲んだり食べたりするのだろうか。
Cが言う。親と一緒の時にはしないのじゃないか。せいぜい飴を舐めるか、ガムを噛むくらいのことか。
Bが言う。親の世代にはまだ社会常識は残っているだろうからな。
Cが言う。あの子達は仲間と一緒だと変わってしまうのだ。自分達だけの世界を作ってその中に入り込んでしまう。
Aが言う。それにしても車内で箸を使って食べるのは初めて見た。パンや握り飯を食べるのは見慣れたが・・・。現にあの子達の隣の子はパンを食べている。
Bが言う。パンや握り飯を食べるのと箸を使って何かを食べるのとどちらが抵抗があるのか。
Aが言う。どれも同じようなものだが、敢えて言うと箸を使うのは、何かしら「正規の」食事をしているようで違和感が強い。
Cが言う。あの子達にとっては箸を使わなければ食べられないものだから使っているだけだと言うだろう。
Bが言う。パンを食べるのとどこが違うのかと言うだろうな。
Aが言う。要するに自分がしたいことはどこででもすると言うことか。他人にとやかく言われることはないと。
Bが言う。自分達の世界の中に勝手に入ってくるなと言うことだろう。
Aが言う。「ほっといて」と言うことか。他人の世界には入って行かないのだろうか。
Cが言う。自分に関係のない他人のことなどには関心はないだろう。
Aが言う。若い子のやることを、自由でのびのびしていると寛大な「理解」を示す大人も結構いるから、ますます野放図な振る舞いが増えるのだろう。
Cが言う。年を取ったんだよ。
そうこうしているうちに、女の子達はカップの底を持ち上げて顔を少し仰向け、口を突き出してスープを飲み干して「食事」は終わった。食べ殻はどうするかと思ったが、それは手提げ袋の中に収めたので、私の女子高生生態観察は終わり、頭の中の声も中途半端なままで消えた。
Aが言う。まったく最近の女子高校生は場所などわきまえなく食べるのだな。人目が気にならないのだろうか。恥ずかしくないのかな。
Bが言う。恥ずかしいなんてものはどっかに放ってしまっているのじゃないか。
Cが言う。あの子達には自分以外の他人など存在しないのも同然なんだ。自分のいる空間に他人もいるなんて考えもしない。人目なんてないんだよ。
Aが言う。人前で化粧するのと同じ感覚ということか。
Cが言う。人が自分を見ているなどとは思わない。自分がいる空間はすべて自分のプライベートなものなのだ。
Bが言う。自分だけしかいない空間では何をしようと恥ずかしいことなどないわけだ。
Aが言う。しかし、まさか車内で服を着替えたりはするまい。
Cが言う。分るものか。いずれ髪を梳き直す感覚で着替えもするようになるかも知れない。見られることなんか気にしないし、見るほうが悪いと言うかもしれない。
Aが言う。家庭教育の甘さなのかな。親と一緒でも電車の中で飲んだり食べたりするのだろうか。
Cが言う。親と一緒の時にはしないのじゃないか。せいぜい飴を舐めるか、ガムを噛むくらいのことか。
Bが言う。親の世代にはまだ社会常識は残っているだろうからな。
Cが言う。あの子達は仲間と一緒だと変わってしまうのだ。自分達だけの世界を作ってその中に入り込んでしまう。
Aが言う。それにしても車内で箸を使って食べるのは初めて見た。パンや握り飯を食べるのは見慣れたが・・・。現にあの子達の隣の子はパンを食べている。
Bが言う。パンや握り飯を食べるのと箸を使って何かを食べるのとどちらが抵抗があるのか。
Aが言う。どれも同じようなものだが、敢えて言うと箸を使うのは、何かしら「正規の」食事をしているようで違和感が強い。
Cが言う。あの子達にとっては箸を使わなければ食べられないものだから使っているだけだと言うだろう。
Bが言う。パンを食べるのとどこが違うのかと言うだろうな。
Aが言う。要するに自分がしたいことはどこででもすると言うことか。他人にとやかく言われることはないと。
Bが言う。自分達の世界の中に勝手に入ってくるなと言うことだろう。
Aが言う。「ほっといて」と言うことか。他人の世界には入って行かないのだろうか。
Cが言う。自分に関係のない他人のことなどには関心はないだろう。
Aが言う。若い子のやることを、自由でのびのびしていると寛大な「理解」を示す大人も結構いるから、ますます野放図な振る舞いが増えるのだろう。
Cが言う。年を取ったんだよ。
そうこうしているうちに、女の子達はカップの底を持ち上げて顔を少し仰向け、口を突き出してスープを飲み干して「食事」は終わった。食べ殻はどうするかと思ったが、それは手提げ袋の中に収めたので、私の女子高生生態観察は終わり、頭の中の声も中途半端なままで消えた。