中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

羊肉(yangrou)

2006-12-19 18:19:24 | 中国のこと
 近頃、羊肉は健康に良いとかで人気が出ているそうだ。もともと羊肉はジンギスカン鍋にされているが、一般にはあまり人気はなかったように思う。その理由は臭みにあるようだ。確かに牛肉や豚肉を食べ慣れていると、羊肉には独特の臭いがある。妻は嫌いだったし、長男も嫌っていた。トルコに出張で少し長く滞在した時にはほとんどが羊肉で悩まされたらしい。一度鶏肉料理を注文したら同じ鍋を使ったのか、羊肉の臭いがして参ったと言っていた。

 トルコに限らず、イスラム教徒は豚肉を食べないで羊肉を食べる。もちろん中国の少数民族でイスラム教を信奉しているウィグル族やカザフ族、回族も羊肉食だ。イスラム教徒ではないが蒙古族も羊肉をよく食べる。元のフビライの時代に始まったと言われている[氵+刷]羊肉(shuanyangrou)は、薄切りにした羊肉を沸騰した湯にくぐらせてからたれをつけて食べる、言わばしゃぶしゃぶ料理だが、北のほうでは特に人気があるようで、私も何回も食べた。なかなか美味しいもので、軟らかくて臭みは感じない。もっとも長男は敏感だから臭みがあると言うかも知れない。

 新疆のアルタイ地方に行った時は1週間羊肉ばかり食べた。運転手はウィグル族だから豚肉は食べないし牛肉はあまりないから、どうしても回民(イスラム教徒)料理の店にばかり入ることになった。




 辺鄙な地方だから小さな店しかなかったが、新疆の羊は旨いという定評があるだけに、毎日食べてもまったく飽きることはなかった。鉄串に刺して焼いたシシカバブはもちろん、トン足ならぬ羊足や、麺の具に使われている薄切り肉も旨かった。山羊(shanyang)の肉も羊肉と言っているようだから、食べた中には山羊の肉もあったかも知れない。ガイドの趙戈莉の話だと、シルクロード人気で新疆を訪れる日本人は多いが、羊肉を嫌う者も多くてメニューに困るそうだ。私は羊肉が好きでよかったと思う。

 アルタイ高原ではカザフ族が放牧している羊や山羊、牛、馬の群れをよく目にしたし、夏の放牧を終えて平地に下りて来る群れが道路を横切るのを、しばらく停車してやり過ごすことも何度かあった。

放牧されている羊


道路を横切る山羊の群れ


 羊を飼う民族にとって羊は毛も肉も提供してくれる貴重な財産だ。見た目の可愛い動物で、こんな可愛い生き物を食用にするのは残酷な感じもしないではないが、羊肉を常食にしている民族にとっては羊の群れも、私たちが生簀で泳ぐ魚を見るのと同じように見えるのだろう。

子羊を抱く李真(青海省で)