中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

季節外れ

2006-12-25 14:12:30 | 身辺雑記
 街に出る途中にある、このあたりの旧家の庭に大きな素心蝋梅の木がある。毎年の時期には見事に花を着け、あたりに芳香が漂う。

 秋の終わりには葉は黄色くなり、やがて落ちる。そばを通って今年はまだ落葉していないなと思い立ち止まってよく見ると、枯葉の残る枝の先に花が咲いていたのでちょっと驚いた。あたりにかすかに香りもある。蝋梅の花は葉が落ちてしまった2月頃に咲く。新しい葉はまだ出ていないで、黄色い花がびっしりと枝に着き、樹全体が黄金色の見事な眺めになる。このようにまだ葉が落ち切っていないのに花が咲いたのは、12月に入っても暖かい日が続いたためではないだろうか。狂い咲きと言うことではないが、少し季節外れだ。



 近頃は野菜や果物などはビニールハウスなどの温室栽培が発達しているので、旬という感覚が薄れてきている。しかし、やはりその季節に合ったものがいい。胡瓜が出始めると夏になるなと思ったり、蜜柑の香りに冬の訪れを感じたりするのは、日本の風土に似合っていたと思う。それが今ではのっぺらぼうのような感じになってしまった。花でも花屋の店先は年中春の盛りのようだ。さすがに自然の中の樹木や街路樹、庭木などの花は季節の到来を知らせてくれるが、今年の蝋梅は少し勘違いしたようだ。蝋梅はその季節らしい早春の陽光の中で咲くとその美しさが際立つ。蝋梅は私の好きな花の1つだが、季節外れに咲いては魅力が乏しく、枯葉の中に埋もれてちょっとかわいそうにも思う。こんなに早く花が咲いては、来年の蝋梅はあまり期待できないかも知れない。