中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

首相のファッション

2009-02-14 11:41:57 | 身辺雑記
 一国の首相ともなると、ちょっとしたことでプライベイトなことでも探られるものだ。それがニュースになると大衆は興味を惹かれる。かく言う私もその1人だ。

 国会での野党代表質問で田中真紀子議員が「今のままでは、ただ高そうな背広を着ているおじさんのままで終わる」と揶揄気味に言ったことから、ある新聞記者が、首相のファッションの値段をチェックすることを思いついて調べ、記事にした。

 それによると、首相の行きつけの紳士服店は80年以上の歴史のある老舗で、学生時代に母親に初めて連れて行かれて以来だそうで、それから45年ほどの間に、毎年スーツ換算にして4、5着は作っていて、スーツやジャケット、ズボンもこの店のものだと言う。記者が訪れたときには、店内のクローゼットに首相の仮縫い中のブレザーがあって、値段は27万円。みみっちいことを言うと、年金生活者の私の1か月の生活費より高い。ブレザーにつく金ボタンは英国の有名店のもので、首相自身が現地で購入した円換算で6千~8千円のもの、国内ではほとんど入手できないと言うから大したものだ。

 最近購入したのは、30万円以上するというオールカシミヤのジャケット、矢がすり柄の約16万円のジャケット、7万~8万円のズボンだった。生地はどれも、英国スコットランドの有名メーカー製、スーツは上下で25~30万円という。首相自身が、金はうなるほどあると言っていたというが、なるほどと思う。もっとも、感心するのは私のような者だからで、今のような貧富の格差が激しい世の中には、これくらいの金持ちはいくらでもいるのだろう。

 首相は見栄えをかなり意識しているようで、確かに洒落者らしいが、それを認めるある有名な服飾評論家は、「言ってることはちゃらんぽらんなのに、おしゃれだけビシッと決めて、中身が付いて行っていない。こだわっているファッションと、やっていることの齟齬があって、より反感を買うのでは?」と手厳しいことを言っている。

 首相が大金持ちであろうと、毎晩のようにホテルのバーで飲もうと、高価な服を作ろうと一向に構わない。首相の祖父の吉田元首相は、敗戦直後の国民窮乏時代にも高級スコッチを愛飲していたようで、酒好きだった父が安い酒で満足していたことと比べて、反感を持ったこともあるが、まあ、金持ち、富豪というものはそういうものなのだ。とやかく非難めいたことを言っても始まらない。所詮はごまめの歯軋りだ。しかし、少なくとも庶民の側にいる人間ではないことは確かだろう。私などとは縁遠い世界に住む種族に属している。話題の定額給付金を受け取るのかどうか考慮中と言うのは口先だけで、実際にあの程度の金には興味もないだろう。だから、漫画を読むのが好きだとか、べらんめえ調で話すからとか、秋葉原で演説するとかで庶民的だ、庶民の気持ちが分かるなどと言ってほしくはない。