中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

ppm

2009-04-24 09:21:05 | 身辺雑記
 近頃次のような記事を見た。1つは、ある洋菓子メーカーで、菓子に使っている米国産のラズベリージャムから基準値を上回る農薬「ビフェナゼート」が検出されたという。基準値は0.01ppmで、含まれていたのは1.2ppmだったそうだ。同社は食べても健康には影響はないと説明しているが、このジャムを使っている商品5万5000箱を自主回収したようだ。

 類似の話はこれまでにもあったが、なぜ食べても健康には影響が無いと言うのに商品を回収しなければならないのか、私には分からない。このジャムだけを大量に食べるのならいざ知らず、このジャムは焼き菓子に使っていたと言うから、ごく少量でまったく問題ないだろう。ジャムそのものに基準値以上の農薬が含まれていたからと言って、焼き菓子そのものに含まれる農薬の量などほとんどゼロに等しいのではないか。

 回収した菓子はおそらく廃棄処分されるのだろう。飽食の国ならではの話だ。いっとき「モッタイナイ」と言う日本語が脚光を浴びたことがあったが、これこそもったいない話だと思う。こうまでするのは企業イメージに関わるものと考えたからか。「消費者から指摘を受けたわけではありませんが、私どものほうで分かりましたことで、自主的に回収いたしました」と言うと、いかにも企業の社会的責任を自覚した優良企業だという評価を期待してのことか、などと言うのは下種の勘繰りか。たしかに「基準値を上回る農薬が発見された」ジャムを使った菓子と言うと、なにやらおどろおどろしい印象になるかも知れないが、冷静に考えるとたいしたことではないだろう。

 よく分からないのが「基準値」というものだ。0.01ppmの基準値とはどんなものなのか。ppmは100万分の1を示すものだから、0.01ppmというと非常に微量なものだ。ではそのような基準値が決められているビフェナゼートと言う農薬は、どの程度の量を摂取すれば危険なのか。そこがどうも分からない。誰か教えてもらえないだろうか。どうも基準値という言葉が独り歩きしていて、「基準値を上回る」と聞くとすぐさまそれは赤信号だと受け止めてしまうような気がする。

 もう1つは、タイから輸入された生鮮マンゴスチンから食品衛生法の基準値を超える「イマザリル」という農薬が検出され、厚生労働省は輸入業者に同法に基づく検査命令を出した。今後は輸入のたびにサンプル検査が義務付けられるというニュース。輸入された400キロのマンゴスチンはすべて消費されたらしく、イマザリルの検出量は基準値(0.02ppm)の7~8.5倍の値とかで、これは大量に食べても健康に影響を及ぼす濃度ではないそうだ。ではこのニュースはいったい何を問題にしたかったのか分からない。そもそもニュースになるようなことなのか。ここでも基準値の7~8.5倍ということが、さも大きなことのように捉えられているように思った。

 もちろん食品は安全なものでなくてはならないから、そのための検査は必要だ。検査する以上は、安全の目安としての基準値が決められるのも当然だ。その検査をかいくぐって、中国産餃子事件のように極めて高濃度な有害物質が含まれている場合は論外だが、そうかと言って、「ppm」がまるで呪文のようになって、食品に対して必要以上に過敏になるのは考えものではないか。