中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

格安ツアー

2009-04-27 07:00:14 | 身辺雑記
 西安の旅行社に勤めている友人の話では、相変わらず日本人の観光客は少なく、日本の旅行社からのツアー見積もり要求も少ないようだ。

 団体ツアーはあってもいわゆる格安ツアーが多いようで、これはひどく買い叩かれるのだそうで、見積もりを出すのがとてもつらいと友人は言った。何しろ例えば「西安3泊4日」のプランの場合には、入場料、食事代、車代はすべて中国側で負担する。日本の旅行社からは接待費として1人あたり3$、約20元(300円弱)が支払われるだけという。入場料など日本の旅行社が出さない費用は誰が負担するのかと尋ねたらガイドだと言う。ガイドはその分「人頭税」と言って、観光客一人当たりいくらと決められた金額を会社に納めることになっている。そんなツアーのガイドを引き受ける者があるのかと思うのだが、できる者はあるようで、運がよければ黒字だと言う。これは客をショッピングに連れて行き、客の購入額に応じて店からのリベートがあるからだろう。もちろん運が悪ければ赤字になる。

 日本で時折見かける旅行社のツアー案内を見ると料金の安さには驚くほどで、いったいどうなっているのかと思うくらいだが、その裏にはこのような弱い者泣かせと言ってもいいような実態がある。安いツアーでは何度もみやげ物店に連れて行かされたという苦情があるが、そうでもしなければガイドは仕事をしても赤字になってしまう。また案内される者は、ガイドは会社から給料が出て、収入面では安定していると思うだろうが、実情はそんなものではなく、今頃はガイド達はツアーを担当する前には非常に心理的な圧迫を感じているのだそうだ。

 ガイドの辛さはこれまでにも何度も聞いてきたが、やはり不条理なことだと思う。人頭税のことなどはまったく理解できない。あるベテランのガイドと話したことがあるが、彼女もほんとうにおかしなことだと思いますと嘆いていた。日本の旅行社に言わせれば、それは中国の旅行社の問題で、我々には関係ないと言うのだろうが、常識はずれとも思われるような格安企画を押し付けるからこういうことも起こるのだ。

 中国へのツアーに限らず、格安ツアーは旅行社のまっとうな企業努力によるものなどではないだろう。その裏で苦い思いをしている者がいることくらいは知っておいた方がいい。ましてや中国は物価が安いから、中国へのツアーは安いのが当たり前などと考えるのは錯覚だ。以前ある知人が趣味の同好会の中国へのツアーの世話をしたことがあるが、企画の段階で中国へ行くのだから旅費は4万円くらいでなどという無茶な要求が出て困ったということを聞いたことがある。旅行社の格安ツアーの宣伝ばかり見ていると、こういう馬鹿げた錯覚を起こすようになる。