小さなまちの奇跡の図書館(猪谷千香 ちくまプリマー新書)
鹿児島県南東部の指宿市の市立図書館は、2006年直営から指定管理者へ切換を行うことになり、企業による画一的管理を懸念した地元の利用者はNPO法人そらまめの会を結成し、受託に成功する。そらまめの会は、地元に密着したユニークな企画や献身的?なレファレンス活動で各種の賞を受賞してきた。そらまめの会の活動を描いたノンフィクション。
指定管理者を設けることは、経費節減が大きな目的なので、人件費を大きくすることができず、図書館員の低報酬が問題担っている、と聞いたことがあるが、おそらくそらまめの会も似たようなものだと思われる。いろいろな賞を得たことで、自治体の評価が高まり委託費は増えたのだろうか?もし、増えたとすると、他の公立図書館のモチベーションアップに資すると思うのだが・・・といったあたりも取り上げてもらいたかったかな。
実はこの本も図書館で借りて読んだのだが、サイトで予約ができるようになってから図書館は飛躍的に便利になった。新刊もすぐ入るので、本を買う機会が激減した。ただ、人気がある本(例えば東野圭吾の新刊とか)は、予約しても順番が回ってくるまで1年以上かかることもあるので、早く読みたい場合は買ってしまう。一方、あまり書店では売れないような本は、すぐ順番が回ってくるので買わない。日本全国の読書好きの人は皆似たような状況ではないだろうか(読みたい本はためらわずに買えるほど財政的余裕のある人は別だが・・・)。出版業界にとっては、なんとも頭の痛い問題だ。