蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

南風

2011年03月06日 | Weblog
南風

今年の2月17日付の日経新聞の文化面の連載「子どもが見たアート十選」で和田三造の「南風」が紹介されていた。
小船の上の不安そうな男たちを描いた有名な絵で真ん中に筋肉ムキムキの男が立っている絵といえばピンと来る方も多いと思う。
「子どもが見たアート十選」は、名画を見た子どもたちの反応を記したもので、どれもその新鮮な視線に感心させられたが、とりわけ「南風」の次の部分が印象的だった。

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ここには伊豆大島への航路で遭難した、作者の経験が描かれている。こんな意見もある。
「真ん中の男、すごいマッチョ!」
「全然日本人ぽくない。アメリカ人とか外国人だよ」
「右の不安そうにひざを抱えているのが日本人」
「頭に感じの布を巻いているのは、中国の人じゃない?」
「わかった。国際情勢描いた絵じゃないの」
討論しているのは帰国子女の多い中学校の1年生。海外に暮らすと自分の立ち位置を常に意識するようになるそうだ。
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「国際情勢描いた絵じゃないの」というのがすごい。そういわれて見ると、そうとしか思えないほどそれぞれの男の表情やしぐさがぴったり現在のアメリカ、中国、日本に見えてきた。

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